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子犬のワクチンの種類や時期・料金の知識!散歩はいつからいい?

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子犬を迎え入れた後は、おもちゃやサークルなどのワンちゃんグッズを揃える他にも、しつけやトレーニングといった人間と一緒に生活していくために必要な準備がいくつか挙げられますが、中でもワクチンの接種は、愛犬の健康を守るためには必要不可欠です。

初めて犬を飼う場合、ワクチンはいつどのタイミングで接種するのか、金額なども気になりますよね。
接種が欠かせない必須で受けるべきワクチンとその料金など、子犬のワクチン接種にまつわる注意事項についてご紹介していきましょう。

目次

子犬期はワクチン接種の頻度が多い

実は、成犬になると年に一回で良いワクチンも、子犬期には数回接種が必要となります。
個体によって違いますが、接種回数は2回~3回と成犬よりも多く必要となるのです。

抗体がない状態での外出は危険性が高く、免疫がないことで子犬期の間に感染症などの病気にかかってしまう恐れもあります。愛犬が健康に暮らしていくために、ワクチンの接種回数は獣医に相談しながら考えていきます。

子犬期のワクチン接種が多い理由

通常、子犬は母犬の母乳に含まれている抗体を、子犬を産んでから24時間以内の母乳(初乳)で体に取り入れることによって、菌やウイルスに対抗します。
このように赤ちゃんがお母さんから貰う抗体を「移行抗体」と呼びます。
お母さんの母乳を飲むことによって免疫力をつけるのは、人間の赤ちゃんも同じですね。

ところがワンちゃんの場合、個体によって多少期間が異なるものの、母犬から譲り受けた移行抗体は生後45日頃から徐々に減少していき、早ければ90日、長くても120日ほどで完全になくなってしまうのです。

抗体がなくなると病気や感染症のリスクが高まるのでワクチンを接種し、なくなってしまった抗体を再度体に取り込む必要があるのです。
しかし、母犬から貰った抗体が体の中で活躍している間に追加でワクチンを接種しても、免疫同士がぶつかり合って効果が相殺されるため、初乳から引き継いだ抗体がなくならない限りはワクチンを接種してもあまり意味がありません。

もちろん、本来は抗体がなくなるタイミングでワクチンを接種出来るのが理想でしょう。
しかし、移行抗体が消滅する期間は個体によって異なり、さらには抗体がなくなったかどうかを確認することが困難なので、移行抗体が体の中から完全になくなってしまい子犬が病気などの危険にさらされないよう、ワクチンを頻繁に接種することでリスクを回避するために、成犬に比べて接種回数が必然的に多くなってしまうのです。

ワクチンを接種する間隔は?

では、ワクチンはどのくらいの頻度で接種すれば良いのでしょうか?

獣医師・宿南章

移行抗体が減少し出すのがだいたい生後45日頃なので、1回目のワクチンは生後45日頃~60日頃に接種します。

移行抗体が早めになくなってしまったと考えての接種ですので、この頃に移行抗体がまだ残っているようであれば、接種したワクチンの効果は薄いと考えられます。

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そのため、生後60日以降120日頃までに2回目のワクチンを接種することが多いです。

ワクチン接種の回数は?

一般的な移行抗体が完全になくなる期間を考え、2回まではほぼ必須でワクチンを接種します。
ただし、3回目以降は前回のワクチン接種時期によって異なってきます。

もし生後45日頃に1回目のワクチンを接種した子であれば、2回目の接種時期も生後60日前後になるでしょう。

移行抗体は長い場合で120日ほどは保有するため、生後60日前後ではまだ抗体が残っている可能性があり、そうするとワクチンによる免疫がしっかりと作られていないことになります。
ですので、同じような間隔で生後90日~120日頃の間に3回目のワクチンを接種しておく必要があるのです。

逆に1回目のワクチンを生後60日前後で接種した場合には、2回目の接種が生後90日前後となるため、移行抗体の完全消滅時期に入り3回目の接種は不要と考えることもあります。
3回目以降のワクチンは、移行抗体が最長期間で残っていた場合を考えたリスクヘッジです。

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接種が必要かどうかは獣医との相談が良いですが、念のために3回目まで接種しておくに越したことはないでしょう。

ワクチンプログラムを組んでみる

ワクチンプログラムとは、ワクチンを接種する回数や頻度、場合によっては種類などの予防ワクチン接種のために組むスケジュールのことを言います。

ワクチネーションという言い方をすることもありますが、いずれの場合も獣医に相談しながら、スケジュールを決めていきましょう。

母犬から引き継がれる移行抗体の種類は?

子犬は母犬の初乳より抗体を受け継ぎます。
ですので、基本的には「母犬が持っている抗体」が子犬に引き継がれます。

病気にかかったものの完治して免疫を持っている、もしくはワクチンで接種して抗体を持っていれば、子犬は同じ抗体を引き継ぐことが出来ます。

逆に言えば、母犬が持っていない抗体の病気や感染症にかかってしまったら、免疫がないため命を落とすこともあるのです。
移行抗体が消滅してしまい免疫力のないまま生活していると、病気になる可能性やその病気によって死亡する確率も上がりますので、抗体が体で作られるようになるまで、ワクチンは飼い主さんの責任の元、きちんと接種しておきましょう。

接種するワクチンの種類と料金は?

接種するのは「混合ワクチン」です。
何種類のウイルスを接種するかによってワクチンの種類が異なります。
主に接種するワクチンは以下の種類になります。

  • 2種混合ワクチン
  • 3種混合ワクチン
  • 4種混合ワクチン
  • 5種混合ワクチン
  • 6種混合ワクチン
  • 8種混合ワクチン

今回はワクチンの説明と合わせて、それぞれ一般的な料金の目安も記載しておきます。

2種混合ワクチン

犬パルボウイルス感染症と犬ジステンバーの2種類のウイルスです。
犬パルボウイルス感染症は子犬期にかかると死亡率が非常に高い病気です。

2種混合ワクチン 料金の目安

およそ5,000円~6,000円程度

3種混合ワクチン

犬ジステンバー、犬伝染性肝炎、犬アデノウィルス感染症の3種類です。
犬ジステンバーの予防接種をしておけば、万が一感染しても無症状、もしくは軽症で済むことが多いです。

3種混合ワクチン 料金の目安

およそ5,000円~6,000円程度

4種混合ワクチン

3種混合ワクチンに犬パラインフルエンザ感染症を加えた4種類です。
犬パラインフルエンザ感染症はウイルス性の病気で、この病気に感染した他の犬から移ります。
ワクチンを接種しておくことが一番効果的な予防です。

4種混合ワクチン 料金の目安

およそ5,000円~6,000円程度

5種混合ワクチン

4種混合ワクチンに犬パルボウィルス感染症を加えた5種類です。
子犬期にかかると危険な犬パルボウィルス感染症を網羅しているため、5種混合ワクチンを薦める病院も多いです。

5種混合ワクチン 料金の目安

およそ5,000円~7,000円程度

6種混合ワクチン(料金目安:6000円~8000円)

5種混合ワクチンに犬コロナウイルス感染症を加えた6種類です。
犬コロナウイルス感染症は子犬が感染した場合、下痢や嘔吐の症状に加え胃腸炎を引き起こします。
重症化すると死亡する恐れもある非常に怖い病気です。
予防にはワクチンが最も有効と言われます。

6種混合ワクチン 料金の目安

およそ6,000円~8,000円程度

8種混合ワクチン

6種混合ワクチンに犬レプトスピラ感染症2種を加えた7種類です。
6種以上は、犬レプトスピラ感染症の接種ウイルスの種類が増えていきます。

犬レプトスピラ感染症というのは「レプトスピラ」という細菌によって起こる病気です。
感染源は大体がネズミですが、イノシシやタヌキも保菌しています。
この保菌動物によって媒介されたレプトスピラ細菌が犬の体内に入ると発病します。

感染・発症すると恐ろしい病気ではありますが、野山を駆け回るようなワンちゃんでなければ、犬レプトスピラ感染症の抗体はあまり必要ないとも言えます。

8種混合ワクチン

およそ8,000円~10,000円程度

どの種類の混合ワクチンを接種するかは生活環境によって判断しましょう。
また近年では、ハイタイターローパッセージワクチンと言って、母犬からの移行抗体がまだ活躍していても、新しく免疫を作ることが出来る新しいワクチンも登場しています。

ハイタイターローパッセージワクチンを接種する場合は、接種回数や頻度が通常ワクチンの接種時と異なりますので、まずは獣医に相談してみてください。

場合によっては一種類の混合ワクチンしか揃えていない動物病院もありますが、大抵は取り寄せることが出来ますので、愛犬の健康を守るために飼い主さんが必要と思うワクチンを選んであげてくださいね。

狂犬病のワクチン接種も受けること

病気や感染症以外のワクチンでは、狂犬病のワクチンの接種が必要です。
狂犬病の場合は接種するタイミングが毎年1回で時期は4~6月の間に受けると決まっています。

また、狂犬病ワクチンは接種が義務付けられているので、飼い主さんはどのワンちゃんにも絶対に受けさせましょう。
ちなみに、混合ワクチンの接種は義務ではありませんので、飼い主さんの判断で受けることになります。
ですから、どの種類のワクチンを接種しても構わないのです。

狂犬病ワクチンと混合ワクチンで先に接種するのは?

狂犬病のワクチンと混合ワクチンのどちらを先に接種するかについては、感染リスクを下げるため、先に混合ワクチンを接種することをおすすめします。

基本的に混合ワクチンを接種した後は1ヶ月ほど期間を空ける必要がありますので、狂犬病のワクチンは混合ワクチンを接種した1ヶ月後に受けましょう。

狂犬病ワクチンは1週間期間を空ければ問題ありませんので、次回の混合ワクチンは狂犬病ワクチンの1週間後に接種出来ることになります。
病院によっては接種間隔が異なる場合がありますが、獣医の指示でワクチンプログラムを組むようにしましょう。

  • 混合ワクチン接種から次のワクチン接種までの期間1ヶ月以上
  • 狂犬病ワクチン接種から次のワクチン接種迄の期間1週間以上

ワクチンの料金は病院によって違う

今回、ワクチンの種類と料金の目安を記載していますが、動物病院のホームページでそれぞれの料金を確認することは通常出来ないでしょう。
実は動物病院で行われる治療や手術については、法律によってその金額を記載することが禁止されているのです。

ワクチンをはじめフィラリアの投薬代などは欠かせない予防であり、愛犬の健康を守るためにかかる必要な医療費ではあります。ですが、やはり健康保険が効かない医療費ですので少しでも安く抑えたいと思うのが普通です。

そのような心理が働く中で本当に価格競争化してしまうと、お客さんを取り合うことに意識が向いてしまい、最終的に獣医療の質が低下することになりかねません。
愛犬を守るための獣医療で、救えるはずの命を失う恐れすらあります。

飼い主さんが料金だけで病院を決めてしまわないよう、治療にかかる金額を見えるところには記載していませんが、病院に直接電話をすれば料金は教えてもらえます。

中には、電話口でも料金を公表しない病院もありますが、ワクチンの料金設定は病院ごとに自由に決められますので、気になる方は検討している病院へ尋ねてみてください。

ワクチン接種後はいつから外出できる?

迎え入れた新しい家族。飼い主さんは早く一緒に遊びたいと思うでしょう。
子犬の間に屋外の環境へ慣らしておくこともしつけの一環なので、出来るだけ早く散歩に連れ出したいと気持ちがはやるかもしれません。

しかし、体の中に免疫が出来ていない状態で外出すると、病気になったり感染症にかかる危険があるために、あまりおすすめはしません。

散歩に連れて行ける具体的なタイミングというのはありませんが、免疫がしっかりと出来た状態でなければ屋外を散歩させることはしない方が良いでしょう。

また、ワクチン接種後2~3日までは副作用が出る恐れがあります。
接種後数日間は子犬の様子を見て、問題なさそうであれば屋外デビューとしましょう。

犬種や体調など個体によってもベストなタイミングは違います。
獣医に相談するのが一番ですので、ワクチン接種時にぜひ問い合わせてみてください。

こんな時はワクチンを打たないで!

ワクチンを打とうと思っていたタイミングで、愛犬の様子がおかしい・・・そんな時はワクチンを打つのはやめておきましょう。ワクチンは通常ウイルスや細菌の毒素を弱めて投入します。
あえて体にウイルスを送り込むことで細菌を体の中で戦わせ、意図的に抗体を作ります。
ですが、ワンちゃんの体調が悪い時にこのようなウイルスを体の中に入れると、体がウイルスに負けてしまうことがあるのです。


人間のインフルエンザ予防接種でも時々、接種したウイルスに負けてインフルエンザにかかる方がいらっしゃいますが、犬の予防接種でも同じことが言えます。

様子を見ていて、食欲がなかったり、下痢や嘔吐があったり、疲れているように感じる場合は接種するタイミングを変更しましょう。

ワクチン接種日を変更するケース

上記でも説明したように、ワンちゃんの体調がよくない時には無理に打つのではなく、元気になってから打ってあげましょう。以下のような場合にはワクチン接種日を変更してあげて下さい。

  • 元気がなくてぐったりしている
  • 熱がある
  • 嘔吐や下痢の症状がある
  • 他の病気に感染している
  • ワクチン接種前後にストレスになりそうな用事がある(長距離移動など
  • 食欲がない
  • アレルギー反応が出ている

まとめ

獣医師・宿南章

ワクチンは愛犬の健康を守るための大切な予防医療です。
そして、子犬期にしっかり免疫を作っておくことで、感染症に強い丈夫な体の元気な子に育つはずです。
飼い主さんは愛犬の様子を確認しながら、無理のないように計画をしっかりたてて、ワクチンを接種してあげてくださいね。

子犬のワクチン

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獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

興味の多いテーマ

記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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