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【犬のストレスサイン】に気付く!原因と解消方法

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人間と同じように犬にもストレスがあります。多くの愛犬家の方たちはこの事実をすでにご存知だと思いますが、意外に「でも、うちの子は大丈夫」と思ってしまいがちなものです。

愛犬の最近の行動をよく思い返してみてください。これまでにはなかった行動をしてみたり、今までと何か違うといった違和感はありませんでしたか?もしかしたら、それは愛犬があなたに何かしらのサインを送っているのかもしれません。

そこで、今回は犬のストレスサインについてお伝えしていきます。愛犬がストレスを抱えていないか不安な飼い主さんも、ストレスはないと思うけど自信がないと感じている飼い主さんも、犬がストレスを抱えている時に見せるストレスサインを知って確かめてみましょう。早い段階でストレスサインを見つけて原因を突き止め、解消してあげて、飼い主さんも愛犬もストレスフリーな生活を楽しんでください。

目次

犬のストレスサインとは

嫌なことや恐いこと、不安なことや不満なこと、身体に異常などがあっても、人間の言葉を話せない犬には飼い主さんに訴える言葉がありません。ですから、飼い主さんは愛犬の様子をしっかりと観察して、いつもと違う行動をしていたらストレスのサインとして気づいてあげる必要があるのです。

ストレスサインとして分かりやすいものは、恐怖や不安を感じた時に「震える」「隠れる」などの行動が挙げられます。

ちなみに近年、イタリアのPisa大学の研究者グループが、動物病院の待合室にて犬のストレスに対する調査を行いました。3分間ほどの待ち時間を犬がどの程度ストレスに感じているか、飼い主さんと専門家のそれぞれが犬の様子を観察して評価するというものです。緊張や不安から「震える」「隠れる」「逃げようとする」といった分かりやすいストレスサインは、飼い主さんも専門家と同じく見逃すことはありませんでした。

しかし「耳が下がる、倒れる」「身体が固まって動こうとしない」「尻尾が下がる」など、犬種や姿勢によっては見分けづらいストレスサインや、ストレスサインを出す回数や時間の長さまでは飼い主さんからは見逃されていたようです。

つまり、飼い主さんから見ればそれほどストレスに感じていないだろうと思えても、専門家が見れば明らかにストレスになっている状況だったのです。

このことから、愛犬が発しているストレスサインを飼い主さんが充分に理解しているケースは少なく、飼い主さんが思っているより愛犬がストレスを感じている場合があるということが分かります。

 

 

犬がストレスを感じる主な原因

ストレスの原因となる要因には、精神的要因・環境的要因・身体的要因と主に3つあります。精神的要因とは、恐怖・不安・欲求不満・孤独感などです。動物病院の待合室で待つ間の恐怖や不安もそうですが、かまってもらえなかったり、長時間の留守番など、寂しさからの不安や不満、孤独感もあります。大好きな人がいなくなったりしても大きなストレスとなりますね。

また、散歩中のニオイ嗅ぎや獲物を追いかけて捕まえるなど、犬本来の行動を禁止することも欲求が満たされずにストレスとなります。環境的要因では、散歩不足や運動のしすぎ、落ち着ける場所がない、暑すぎや寒すぎ、引っ越しなどが挙げられます。

身体的要因は痛みや痒みなどの不快感によるものです。病気からくる場合もありますし、老化によるものや薬の影響なども考えられます。

 

犬が発するストレスサイン

身体の一部を舐め続ける

もっともよく見られるストレスサインです。自分の身体を舐めるのは「グルーミング」と呼ばれる毛づくろいの行動で、毛や皮膚をキレイに保つために習慣的にするものです。ただ、身体の一部分だけを執拗に舐めるというのはストレスサインと考えていいでしょう。

飼い主さんに相手をしてもらえない寂しさ、長時間の留守番での不安など、気持ちを紛らわせる方法として舐めている可能性が高いです。舐めている箇所を確認してください。舐め過ぎて毛がなくなっていたり、皮膚が赤くなったりしていませんか。そのままでは炎症を起こしてしまう危険性もありますので、即座にやめさせましょう。

身体の一部を舐め続ける場合は、精神的に不安定になっているか、アトピー性皮膚炎などの皮膚病も考えられます。アレルギー症状という可能性もありますので、動物病院で一度診てもらってください。

 

身体の一部を頻繁に掻く

身体の同じ個所をしょっちゅう掻くというのも注意しましょう。足の爪で掻くと皮膚に大きなダメージを与えてすぐに傷になってしまいます。そこから菌が入りやすくなるので早めに手を打つ必要があります。

この場合も皮膚の疾患が疑われますので、動物病院で診察を受けて原因を突き止めましょう。

 

自分の尻尾を追いかけてクルクル回る

この行動は「テイルチェイシング」と呼ばれ、仔犬の頃は遊びの一環となっている場合があります。まだ小さいため自分の尻尾という認識がなく、目に付いた動く物を追いかけて遊んでいるだけなのです。ですが成犬になってからこの行動をする場合は、溜まっているストレスを発散させているケースが多いと思われます。

ただ、過去に愛犬が自分の尻尾を追いかけてクルクル回っているのを見て飼い主さんが笑ったり喜んだりした経験があれば、愛犬はそれを覚えていて、また飼い主さんに喜んでもらおうとクルクル回っているのかもしれません。ストレス発散なのか、飼い主さんを喜ばせるためなのか、愛犬の様子をよく見て判断してください。

ストレスが溜まっていると感じたら、散歩の時間や回数を増やしてあげたり、触れ合う時間を増やすようにしましょう。ちなみに、稀ではありますが、てんかん発作の一つとしてこのような症状が出る場合もあります。クルクル回る時の愛犬の表情や普段の行動にも注意を払ってくださいね。

 

あくびをする回数が増える

私たち人間がする「あくび」とは眠い時や疲れた時に出るものですが、犬がするあくびは緊張を解いたり、気持ちを落ち着かせるための手段でもあります。

飼い主さんが愛犬を叱っている時にあくびをしたら、それは明らかにストレスを感じていて「もういいでしょ、落ち着いて」という意思表示なのです。そして自分自身の緊張もほぐそうとしています。

もしあなたの愛犬があくびを頻繁にするようなら、それは緊張を強いられる場面が増えたからかもしれません。思い当たることはないか、愛犬の生活パターンや行動範囲、愛犬への接し方を振り返ってみましょう。

 

息遣いが荒い

夏場の散歩などで、よく「ハァハァ」と舌を出して歩いている犬を見かけますね。あれは「パンティング」と呼ばれる行動で、人間のように発汗して体温調節ができない犬は、舌を出すことで発汗の代わりに体温を下げているのです。ですから、普通であれば体温が下がってしまえば治まります。散歩から帰ってしばらくすれば息遣いもいつも通りに戻るものです。

ところが、散歩に行ったわけでもなく激しい運動をしたわけでもないのに「ハァハァ」が止まらなかったら、それはストレスサインの一つです。極度の不安や恐怖、興奮などを感じるとパンティングの症状が現れます。音に敏感な子は雷や花火の音で起きることもあり、人見知りが激しい子は知らない人に無理に触られることで起きることもあります。

あまりに長時間ストレスがかかったままの状態でいると、恐怖のあまり逃走したり噛みついてしまったりという悲劇がおきてしまいかねません。ストレスの元凶を素早く取り除いてあげましょう。

 

無駄吠えが増える

犬は吠えることで気持ちを伝える動物です。犬によって個体差はありますが、たとえ普段からあまり吠えない犬でも、どうしても意思表示をしたい時には吠えて伝えます。嫌がることをしつこくされたら「やめて!」という意味で、あまりにもお腹が空いたら「ご飯ちょうだい!」、ずっとケージの中に入ったままだったら「お散歩に連れてって!」と吠えて訴えるしかないのです。

人間はよく「無駄吠え」という言い方をしますが、実は犬にとって無駄な吠えというものはありません。必ず何かしらの理由があって吠えています。愛犬が吠えていたら、うるさいと叱る前に何が原因で吠えているのか考えてみましょう。ただ叱ったり、そのまま放置していても、愛犬のストレスが溜まる一方で改善されることはありません。

ただし、明らかに吠えさえすれば要求が通ると分かっている要求吠えの場合は、飼い主さんと愛犬の関係に問題があると思われます。

信頼関係をしっかり築いて、少しぐらい思い通りにならなくても辛抱する事や、ちゃんと愛犬のことを考えているから不安にならなくていい事を教えてあげましょう。

 

物を壊したりいたずらをする

よく「ダメ犬」という呼ばれ方をするのが、物を破壊する犬です。留守番中に部屋の中の物を片っ端から壊していき、果てには壁まで破壊する犬もいます。そういう犬の場合、部屋の中をめちゃくちゃにするからと一つの部屋に閉じ込められたり、二階から下には下ろしてもらえなかったりと、行動を制限されるケースが多いようです。

そのストレスは散歩の時に爆発して、外に出て自由に歩ける喜びから飼い主さんのことはお構いなしで好き勝手に動き回ります。すると飼い主さんは、制御が難しい愛犬と散歩に行くのが面倒になってきます。そして留守番をさせる時間が長くなり、散歩へ行く回数が減ってしまったりもします。

こうなると悪循環で、愛犬はさらにストレスが溜まって破壊で発散するしかなくなるのです。この場合は明らかに運動不足とコミュニケーション不足ですね。

散歩や運動でストレスが溜まらないようにして、飼い主さんとの遊びでコミュニケーションをとりましょう。手遅れになると飼い主さんにさえ牙を剥くかもしれません。

ドッグトレーナーの手を借りてでも早急に改善してください。

 

トイレを失敗する

これまではちゃんと決まった場所で排泄をしていたのに急に失敗するようになった、というケースもよく耳にします。飼い主さんの中には「留守番させたからわざと嫌がらせでやった」と考える人もいるようですが、嫌がらせという感覚は犬にはありません。

トイレを失敗する原因はさまざまですが、ストレスサインの一つであるとも考えられます。どんな形でも飼い主さんにかまってほしくての行動かもしれませんし、充分な散歩時間がとれていないからかもしれません。

また、泌尿器系に疾患があるのかもしれません。一度愛犬としっかり向き合って、ちゃんと決まった場所で排泄できたら褒めることをやり直して、それでもトイレを失敗するようなら動物病院で診察を受けてみましょう。

 

愛犬のストレスを解消する方法

ストレス解消には楽しい散歩が一番効果的

どんなに小さな犬種であっても犬には散歩が必要で、飼い主さんが考えている以上に愛犬は飼い主さんとのお散歩が大好きです。ただ外を自由に歩けるからというだけでなく、飼い主さんとのコミュニケーションが楽しいのです。

飼い主さんが話す言葉の意味を愛犬が理解してくれるかどうかは別にして、たくさん話しかけてあげましょう。愛犬は飼い主さんの声や雰囲気はちゃんと分かっています。ゆっくり歩いたり小走りにしたり、たまには溝をジャンプしたりと、愛犬に声をかけながらメリハリをつけて歩くのもいいですね。ただ歩くよりも何倍も楽しいお散歩になりますよ。

 

スキンシップも大事

愛犬は、ご飯やおやつをくれたり、頭を撫でてくれる飼い主さんの手が大好きです。散歩から帰って足を拭くときには、ついでに全身もくまなく撫でてボディチェックもしてあげましょう。

触られるのを嫌がる場所がある場合は、そこ以外の場所を優しく声掛けしながら触ってあげてください。スキンシップもはかれて病気の早期発見にもつながり、まさに一石二鳥です。

そして普段から、目が合った時には微笑みながら頭をヨシヨシしてあげることも大切です。その積み重ねが、愛犬に安心感をもたらします。

 

食事の量を再確認してみよう

食欲は、人間と同じく犬にとっても生理的な欲求です。愛犬に適切な量のご飯をあげているか、水は常に新鮮なものを与えているかも再度チェックしてみましょう。

そのためには、毎日のウンチをよく観察することです。ご飯が多ければウンチは柔らかくなり、少なければ硬いウンチになります。適度な硬さをしていない場合はご飯の量を調節する必要があります。色にも注意して、異常があるようならすぐに動物病院に相談しましょう。

 

まとめ

人間は飼う犬を選べますが、犬は飼ってくれる人間を選べません。どんな人間が飼い主になるかで犬の一生は決まるのです。だからこそ、この犬を飼うと決めた以上、人間は犬が最期まで幸せに過ごせるよう努力する義務があります。愛犬ができるだけストレスを感じずに過ごせるよう気を配る必要があるのです。

それでも愛犬がストレスを抱えてしまったら、そしてストレスから問題行動を起こしてしまったら、それは飼い主さんにとっても少なからずストレスとなります。飼い主さんと愛犬がどちらも楽しく過ごすには、愛犬の小さなストレスサインにもいち早く気付いて解消してあげることが肝心です。

普段の生活から愛犬をよく観察して、何か異常があればすぐに対処してあげられる、優しくて頼もしい飼い主さんになりましょう。

犬のストレス

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獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

興味の多いテーマ

記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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