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【獣医師監修】愛犬が皮膚病になったら?その症状と原因、種類について

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獣医師・宿南章

一度かかってしまうと、なかなか治らない皮膚病。あなたの愛犬は大丈夫でしょうか?
皮膚病は、かゆみや膿を繰り返してしまうことも多く、できることなら早く完治させてあげたい病気です。

皮膚病は、かゆみや膿を繰り返してしまうことも多く、できることなら早く完治させてあげたい病気です。

犬の皮膚病は珍しいことではないため、軽いケースなどでは様子を見てと言う方も多いと思いますが、皮膚病の種類を知って、早めに適切な処置を行うことで、あっという間に治る病気も意外と多いものです。

獣医師が分類すると100種類も、200種類もある犬の皮膚病。中でも発症が多いのがアレルギー性の皮膚炎です。

今回はそんな犬に多く見られる皮膚病について、またその種類と症状について見ていくことにしましょう。

目次

どんな症状があったら、皮膚炎を疑うべき?

愛犬がかゆがり、体をかきむしるような行動を見せてくれる場合なら、すぐに皮膚炎を疑うこともできますが、皮膚炎はかゆい症状が出るものばかりではありません。

以下のような症状が見て取れたら、まずは愛犬の皮膚炎を疑ってみるといいでしょう。

  • かゆがる
  • 体臭が強くなっている
  • 毛や皮膚部分がベタベタする
  • フケが出ている
  • 抜け毛が多い
  • ハゲている個所がある
  • 水疱や膿疱がある
  • 赤や白の湿疹がある
  • 紅斑が広がっている
  • 皮膚が変色している
  • 化膿したり、ただれていたり、かさぶたができて厚くなっている部分がある
  • 皮膚がカサカサと乾いている感じがする
  • 毛に黒いものがたくさんついている
  • ダニ、ノミなどの寄生虫を見かけた

などの症状がある場合には、皮膚の病気が疑われます。

健康な状態の犬は犬種により毛の太さ、色、質感は異なりますが、体臭も強くなく、フケなどが出ることはまずありません。
また、何の原因もなく掻きむしることは考えられません。

そのため上記のような症状がある場合、皮膚炎であるケースが多くなります。
適切な処置を受けさせてあげることが大切です。

犬の皮膚病の主な原因は5つ

犬の皮膚炎にはいくつかの原因が考えられます。
その原因と考えられるものは以下の5つです。

アレルギー

人でも花粉症やダニアレルギー、食品アレルギーなどが要因となり、アトピーなどを発症してしまうことがありますが、犬も同じくアレルギーによる皮膚炎になることがあります。

ペットフードに含まれる材料が要因となっているケースが、一番多く見られるアレルギー性皮膚炎の原因です。

他にもベッドや毛布の素材などが原因となることも少なくありません。

このアレルギー性皮膚炎の特徴は、原因があり、それを取り除くことで症状が治まります。
食べているものが原因であれば、そのドッグフードを別のものに変えるだけで症状が回復していきます。

また、環境要因を見直すことで症状の悪化を防ぐことができます。

寄生虫(ノミ、シラミ、ダニ、かんせんなど)

ノミがたくさんついていても、何も症状が出ないという犬もいますが、犬の中にはたとえ1匹でも皮膚炎を起こしてしまう子がいます。
このような寄生虫による皮膚炎もアレルギー性のもの。

ノミやダニ自体にアレルギーを起こしていることも考えられますが、衛生状態の良くない環境を好むノミやダニは細菌や病原菌を持っていることも多いため注意が必要です。

細菌

細菌による感染も皮膚病の原因となります。
もともと犬に存在する常在菌が原因となって皮膚炎をおこすこともあり、真菌(カビ)などへの感染による皮膚炎も多くなっています。

こうした細菌による感染は、犬の健康状態などと密接な関係があり、抵抗力が落ちると症状が悪化するケースも少なくありません。
細菌が耳に感染することで外耳炎を起こすこともあります。

ホルモン異常

犬も人間同様ホルモンは生きていく上で大切な役目を持っています。
その分泌異常が進行してしまうと体調が思わしくなくなったり、皮膚炎を起こすことがあります。

動物の体の中には様々なホルモンが分泌されていますが、ホルモンは体の中の内臓をはじめ、皮膚や毛の調子を保つ役割があり、定期的に毛が抜け落ちるのもこのホルモンの作用が大きく関わっているのです。

ホルモンには一つ一つ役目がありますが、互いに作用を分担したり、助け合って働いているものも多く、どれか一つホルモンに異常がみられると、すぐにそのバランスを崩してしまいます。

皮膚病は大きな病気の前兆と言うこともあり、ホルモン異常が原因の皮膚病を決して軽視してはいけません。

ストレス

人間にもストレスが溜まるように、犬もストレスを感じることが分かってきています。

例えば環境の大きな変化。住む場所が変わってしまったり、飼い主が仕事などで遊んであげる時間を急に減らしてしまうと、犬もストレスを感じ、皮膚炎を起こしてしまうことがあります。

犬を迎えたばかりのころ、軟便や便秘に悩まされるのもこのストレスが原因しています。

長い間ストレスにさらされることで、人間同様犬も免疫力が下がり、些細なことが要因となって皮膚炎を引き起こしてしまいます。

最近、今まで見せなかった癖や行動を取るようになったと言うのであれば、何かストレスの原因となることがあるのかもしれません。

ストレスを溜めることなく暮らせる環境を人間が気遣ってあげることも、時には皮膚病の回復に必要なことなのです。

犬に多くみられる皮膚病とその症状

主な皮膚病の原因が分かったところで、次からは実際に犬がかかりやすい皮膚炎について学んでいきましょう。
代表的な皮膚炎とその症状について詳しく説明していくことにしましょう。

アレルギー性皮膚炎

人間でも見られるこのアレルギー性皮膚炎は、様々なアレルギー因子によって引き起こされる皮膚病です。
食べ物やダニ、埃など特定の物質に反応することで症状を悪化させていきます。
症状としては強いかゆみを伴うのが大きな特徴です。

ボリボリと足を使って掻いてしまうと、そこからまたばい菌が入り、二次感染を引き起こすと言う悪循環が問題となり、完治が難しくなります。

アレルギー検査などを行って何が原因であるか診断してもらい、まずは原因を排除することが大切です。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミの唾液にアレルギー反応を起こし、かゆみや赤い湿疹を伴う病気です。
下半身や尾の付け根などを頻繁に噛むようになったら要注意です。

ノミは犬の皮膚炎を引き起こすだけでなく、人間にも寄生し、病原体をまき散らすため、まずはノミを駆除することが大切です。
今では、ノミの駆除剤や予防も簡単にできるようになっていますので、適切な処置を行ってもらうといいでしょう。

疥癬症(かいせんしょう)

ヒゼンダニが体に侵入することで発症する皮膚炎です。
皮膚の柔らかい部分を好んで侵入経路とするため目の周りや足の指の間などに症状が出るケースが多くなっています。

赤い湿疹ができたり、膿や脱毛、フケ、かさぶたなど、その症状は色々ですが、強いかゆみを伴うため、飼い主もすぐ異変に気付くことができます。

他の犬と接触することでダニの被害に合うこともありますので、注意が必要です。

毛包虫症(アカラス)

ニキビダニによって発症する皮膚病です。
毛包や皮脂腺にダニが寄生することで炎症を起こします。
感染経路は母犬です。

母親と接触することでニキビダニが生息してしまい、そのまま皮膚にとどまりますが、病気などで免疫力が低下したときに発症し、一気に皮膚が赤くなり、フケや毛が薄くなるなどの症状が表れます。

3か月から6か月の月齢の子犬に多く見られる皮膚炎で、ニキビダニ症などと呼ばれることもあります。

膿皮症(のうひしょう)

膿皮症とは犬が本来持っている菌とも言われているブドウ球菌が大量に繁殖してしまい、炎症を起こす病気です。
始めの症状としてはかゆみや赤い発疹が見られます。

目の周りなど皮膚の柔らかい部分に多く出来始めますので、掻くことで症状が悪化しやすいのもこの皮膚病の特徴です。

体調不良やストレスなどで心身がまいっていると体の免疫力が低下し、従来であれば問題のない常在菌が異常に繁殖してしまいます。

皮膚糸状菌症(リングワーム)

犬小胞子菌などのカビに感染することで起こる皮膚炎です。
始めはフケや湿疹などが見られることもあり、症状が進むと円形状に脱毛状態が広がっていきます。
膿や水疱を伴うこともあります。

皮膚に限らず、毛や爪にまで感染するほど感染力が強いため、人間への二次感染にも注意が必要です。
特に10歳以下のお子様のいる家庭では深刻な病気を引き起こす原因となりますので、適切な治療とケアを行いましょう。

脂漏症(しろうしょう)

マラセチア真菌が原因で起こる皮膚炎です。
別名マラセチア皮膚炎などとも呼ばれています。

犬は健康な状態であれば、マラセチアが常在していても皮膚がトラブルに見舞われることはありませんが、アトピーなどの皮膚炎を伴っていたり、栄養の偏った食事、ストレスなどをため込んでいると体のバリア機能が低下して、マラセチア真菌が繁殖を始めます。

繁殖条件のそろった皮膚の重なる部分に症状が出るケースが多く、特に脇や指の間、股間部分などが赤くなったり、かゆくなったりすることがあります。

もともと寒冷地などの品種である犬の場合、他の犬よりも皮脂が多く出ると言うこともあり、感染が早く進行し、炎症の悪化を起こしやすいようです。

内分泌性皮膚疾患

内分泌組織であるホルモンが何らかの原因で異常に分泌されたり、分泌できないことが原因の病気です。

副腎ホルモンが普通より出過ぎてしまう副腎皮質機能亢進症や甲状腺ホルモンの分泌が減少してしまう甲状腺機能低下症をはじめ、性ホルモンが支障をきたすことで体の抵抗力が減ってしまい、皮膚にその症状が表れることがあります。

頭頂部や足先、しっぽなどの毛が抜けたり、白い湿疹ができたり、皮膚の状態が悪くなる、色が変わるなどの症状が見られますが、こうしたホルモンが原因する病気は皮膚に症状が限定されるわけではありません。

皮膚に出る症状は体内の器官が弱っている証拠です。

水を大量に飲むなど皮膚だけでなく他の異常も見られる場合には、内分泌性の病気を患っているケースも多く、放置してしまうと命にかかわることも少なくありません。

皮膚炎を伴い、変だな、いつもと様子が違うと気づいたならば、早めに治療を受けさせてあげましょう。

皮膚炎を見つけたら?

皮膚炎を発見したら、なるべく早めに動物病院を受診しましょう。
皮膚病とその症状に適した治療ができます。

かゆみが強い場合などは飲み薬を処方し、悪化させない処置などを行っていきますので、医師の指示した治療を続けて様子を見守りましょう。
また症状を早く回復させるためにも、自宅でのケアが大切です。

愛犬が皮膚炎になった時に自宅でできること

観察

皮膚の病気は、完治が難しいものも少なくありません。
また、二次感染や再発などを繰り返す皮膚病も多くなっていますので、自宅でのケアも大切です。
まずは、症状が悪化していないか、他への感染が進んでいないかなど、できるだけ毎日観察をしてあげましょう。

清潔を保つ

菌の繁殖や炎症のある部分を清潔に保つためにも週に1度は入浴させてあげましょう。
しかし、シャンプーなどの使用は選ぶものを間違ったり、薬剤による肌トラブルを招いてしまうこともあります。

医師の指示に従ってケアしていくことが大切ですが、炎症がひどい場合には、シャンプーを使用せず、ぬるま湯で流すだけでも十分に清潔に保つことができます。

洗いすぎや濡れたままにすると皮膚の炎症を悪化させてしまう原因となりますので控えるよう心がけましょう。
タオルドライする時も優しく拭いてあげることを忘れないでください。

皮膚病の予防を心がける

皮膚炎を早く見つけ、治療してあげることも大切ですが、やはり日常から皮膚炎の予防にも気を配りたいものです。
皮膚炎を予防するためには、まず愛犬の健康と生活環境をしっかり整えてあげることがポイントです。

日常的なケアとコミュニケーション

愛犬を散歩に連れ出したら、足や体を拭いてあげる、耳や爪のお手入れをしてあげる、毎日ブラッシングするなど日頃からできるお世話はたくさんあります。
こうした毎日のお手入れが皮膚病の予防につながります。

また、ブラッシングなどを通じ毎日コミュニケーションを取っていれば、愛犬のちょっとした変化にも気づくことができます。
いつもより臭いが強い、毛の抜けが多いなど皮膚トラブルを早期発見できますので、ぜひ心がけるようにしましょう。

食事

食事としてドッグフードを与えるのも良いですが、やはりドッグフードには粗悪品、栄養サポートがしっかりしていないものも多く、すべてのものが犬にとって良いものとは言えません。

犬の食事、おやつに気を使ってあげることも予防のためには大切なことです。
総合的に栄養が偏らないもの、健康を保つことができるものを選んであげるようにしましょう。

ドッグフードであれば専門家が作った質の良いフードを選ぶようにしてください。

まとめ

獣医師・宿南章

愛犬が皮膚病に悩まされているという方は意外と多いものです。
皮膚病は一度患ってしまうと、完治が難しく、再発の多い病気です。
その為、しっかりとした治療とケアが必要となります。

動物病院で出された処方薬をきちんと飲ませながら、愛犬の皮膚の状態を毎日チェックし、清潔とバランスの良い食事を心掛けていきましょう。

また、皮膚病は飼い主の努力一つで予防できる病気です。
生活環境、食事を見直し、小まめなコミュニケーションを心掛けることで煩わしい皮膚病から愛犬を守ることができます。
ぜひ、愛犬との生活を今一度見直してみてください。

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獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

興味の多いテーマ

記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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