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子犬のマウンティングをやめさせるには?4つの理由としつけ方法

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ある日突然愛犬がマウンティングをするようになってしまったとびっくりしたり、頭を抱えている飼い主さんもいるかもしれませんが、子犬でも発情期を迎えると本能的にマウンティングを始めるケースは多いのです。

性的な理由だけでなく、遊びやコミュニケーションの一環として行われることもありますが、他のワンちゃんとのトラブルや人に怪我をさせてしまうこともあり、習慣化してしまう前にやめさせたい癖の一つです。

なぜマウンティングをするのか、その理由とやめさせるための方法や、しつけ方をご紹介していきましょう。

目次

犬のマウンティングとは?

マウンティングは「マウント(馬乗り)」が語源になっていますが、犬の場合では、人や物、相手の犬などの対象物に覆いかぶさり交配の時のように腰を振る、もしくは腰をグイグイと押し付けるような行動のことを言います。

以前マウンティング行為は、性的欲求や相手との力関係を見せつけるための行動として考えられていましたが、近年ではコミュニケーションとしての意味があることもわかってきました。

子犬の場合だと取っ組み合って遊ぶ中で、もう一方の子犬とマウンティングし合うことがありますが、こうしたコミュニケーションを通して犬通しの関係性や社会性などを学んでいるとされています。

 

なぜマウンティングをするの?

マウンティングをする理由はいくつかあります。

 

性的欲求

性的な理由でマウンティグをするのは、発情期のメスに対してであることが多いです。これは子孫を残すための動物の本能なので、ある意味自然なことであるとも言えます。

しかし、性的な理由でマウンティグしている場合、交尾に発展して、メスが妊娠してしまう可能性があります。マウンティングの際、オスの性器が露出して精液が出てしまうことがありますし、去勢・避妊していないワンちゃん同士のマウンティングはトラブルの元であると考えましょう。

 

力関係を見せつけるため

他の犬に対して自分の力を誇示し、上下関係を示したいという場合もあります。動物同士の力の誇示は犬に限らず、自然界ではよく見られることです。

性的欲求同様に本能で行なっていることが多く、相手に優位性を示したい時に行うことが多いです。

 

コミュニケーションとして

相手の犬やぬいぐるみやクッションなどの物に対して、もしくは飼い主さんに対しても遊んでほしい時や、かまって欲しい時にマウンティングをすることがあります。

コミュニケーションの一環ではあり、マウンティングをしたりされたりする中で覚えることもありますが、本人は遊びのつもりで行ったことが癖になったり、相手の犬が異性の場合に妊娠してしまったりというトラブルになりかねませんので、注意しなくてはいけません。

 

ストレス解消

運動不足などでフラストレーションが溜まっていると、マウンティングするケースがあります。雨の日が続いて外に出られない時や、環境が変わって心理的にストレスがかかっていることがあります。

これまではマウンティングしたことがないのに急に、という場合には、心当たりがないか考えてみましょう。

 

マウンティングで起こるトラブル

マウンティングは多くのワンちゃんが本能で行っていますが、癖になると様々なトラブルになる可能性があります。

 

対犬恐怖症

人間の対人恐怖症と同じように、犬同士でも「他の犬が怖くなる」ということはあります。異性同士のマウンティングはお互いの力関係をはっきりさせるために行われますが、マウンティングされる側のワンちゃんが嫌がっているにも関わらずしつこく追いかけ回されたりすると、自分以外の犬に恐怖心を持つ可能性があります。

飼い主さんがリードで引き離せるような状況であればトラブルは回避できそうですが、ドッグランのようなワンちゃんがリードなしで遊べるスペースでの出来事の場合、どちらかが追いかけ回されることで、相手の子が怪我をしてしまうケースも想定されます。

事故が起こる前に飼い主さんが止めに入るのもなかなか難しいので、非常にトラブルになりやすいケースと言えます。

 

癖になる

クッションやおもちゃなどの物に対してマウンティングすることもあります。物に対してのマウンティングは、遊んでいて楽しくなったり興奮していることが多いです。

他に、マウンティングしている物を独占したいという気持ちのあらわれでもあります。飼い主さんも対象が物なので「まぁいいかな」と放置してしまう方がいらっしゃいますが、マウンティングが癖になってしまうことがあるので注意しなくてはいけません。

また、独占欲でマウンティングをしている場合、このタイミングで手を出したりすると噛み付かれたりして怪我をすることもあります。

 

人が怪我をする場合

飼い主さんや家族に対してマウンティングする子もいます。人に対してのマウンティングは、その人を自分よりも順位の低い立場だと思っている場合と、単純に遊んでほしかったりかまって欲しかったりするだけの場合があります。日頃から愛犬とどのようなコミュニケーションを取っているかによっても行動の意味が違うかもしれませんが、人に対してマウンティングをするような場合も、癖になってしまう前にやめさせるようにしましょう。

マウンティング行動を放置していた場合、もし飼い主さんのことを自分よりも下に見られているとしたら、その後言うことを聞かなくなるなどして主従関係が崩れてしまいます。しつけもまた一から教え直さないといけなくなりますし、年齢を重ねるにつれてなかなか覚えてくれず苦労することになります。

また、マウンティングされた弾みで人が怪我をする恐れもあります。セントバーナードやゴールデンレトリバーなどの大型犬だけでなく、中型の柴犬なども意外と体重がしっかりあるので、押し倒されたりよろけたりしたタイミングで何かにぶつかったりすることは考えられます。

一番の恐いのは飼い主さん以外の人にマウンティングしてしまい、他の人が怪我をする可能性です。子犬の時期であればまだ押し倒されるようなことはありませんが、成犬になっても癖が治らない時にはこのようなトラブルの可能性があることを理解しておきましょう。

 

妊娠の可能性

マウンティングしているのが異性のワンちゃん同士の場合、絶対に妊娠しないとは言い切れません。特に発情期には本能的に交配したくなるよう、メスはフェロモンを出してオスが寄って来やすいようになっていますし、オスも交配のために生殖能力が高まります。

去勢・避妊しているワンちゃんであれば、性ホルモンが出ずに発情期がなくなるので、マウンティングする子は減りますが、全てのワンちゃんに当てはまるわけではありません。不妊手術をしていなくてもマウンティングをしない子もいますし、性格も関係しているようです。

また、マウンティングはオス特有の行動に思われがちですが、メスでも行う子はいます。性格にもよりますが生理前などに見られることが多いようです。

いずれにしても望まない妊娠を防ぐためにも、マウンティングをやめさせた方が良いでしょう。

 

性器が傷つく

こちらはオス特有のトラブルですが、マウンティグしていると赤い性器が露出してくることがあります。性的な理由で露わになることもあれば、興奮している時にも露出することがあるので、マウンティグ時の自然な身体の構造であると考えましょう。

しかし、マウンティグすることが習慣になってしまい、性器が頻繁に露出することで傷ついてしまうことがあるのです。傷口から菌が入り化膿するケースもあるので、健康上マウンティグが癖になってしまうこともやめさせたい理由の一つです。

 

マウンティングをやめさせる方法

マウンティングをやめさせた方が良い理由は様々でしたが、癖になってしまう前に飼い主さんが止めてあげるのがベストです。では、どうしたらマウンティングをやめさせることが出来るのか、具体的なしつけ方法をご紹介します。

 

普段のしつけを見直す

子犬を迎え入れた時からパピートレーニングをスタートしたかと思いますが、そのしつけがそもそも出来ているかどうか見直しましょう。通常は無駄吠えや甘噛みなどの最初に行うトレーニングを通して、飼い主さんと愛犬の主従関係は少しずつ出来上がっていくものです。ワンちゃんもトレーニングを通して、「この人の言うことを聞かないといけない」と認識し、良いことと悪いことを覚えたり、社会性を身につけていきます。

ですが、飼い主さんがついつい甘やかして愛犬のワガママを許すようになっていると、「飼い主さん=言うことを聞く人」というようにすり替わって認識されていきます。愛犬が飼い主さんに対してマウンティングを始めたら、この主従関係が崩れてしまっているのかもしれません。

家族中での関係性を見直すためにも、待てやお座りなどのしつけが出来ているかどうか、もう一度確認してみましょう。

関連記事:失敗しない子犬のトイレトレーニング!しつけのコツ

相手にしない

マウンティングを始めてもリアクションを取るのはやめましょう。特に高い声を出してはいけません。犬にとって高いトーンの声は喜んでいるように聞こえるため、マウンティングを良い行動だと認識してしまう可能性があります。

同じように、過度なリアクションも飼い主さんが喜んでくれていると勘違いしてしまいますので、マウンティングをしたら無視するようにしましょう。ワンちゃんを置いて別の部屋に移動しても構いませんし、とにかく相手にしないようにします。

もし叱る場合には、低い声で叱りましょう。これは、母犬が怒る時に低い声で唸るため、本能で良くないことだと感じるからです。

飼い主さんだけでなく家族の方もみんな同じように無視をして、「マウンティングをしても誰も喜ばない」ということを教えてあげるようにしましょう。

 

大勢の犬がいるところではリードを使用する

他のワンちゃんにマウンティングを始めてしまっても、リードがついていれば引いて止めることが出来ます。もしマウンティング癖が出てきているような場合であれば、散歩中他のワンちゃんに遭遇した時には、鼻を合わせて挨拶しているだけでも警戒しておいた方が良いです。

愛犬がけしかけそうになったら、すぐにリードを引いて行動する前にやめさせましょう。その際には「だめ!」と言って叱るようにします。

もし前兆がなく、唐突にマウンティングするような時もリードを強く引いて犬同士を離しましょう。即座に止めるのがポイントです。マウンティングをする癖がなくなったら、声をかけながら褒めてあげるのも忘れないでください。

 

おもちゃを変えてみる

おもちゃなど物に対するマウンティングをやめさせるには、おもちゃを変えてみたり、遊び方を変えてみてください。独占したいための行動なので、同じおもちゃに執着させないようにするか、もしくはおもちゃの種類を変えてみるのが効果的です。

そもそもマウンティングしにくい形状のものを選んでみたり、知育系のおもちゃに変えてみると遊び方が変わってマウンティング行動が軽減します。

また、ストレスのために物に当たっている可能性もあるので、ストレスを発散させてあげるためにも外に連れ出してあげるのも良いでしょう。

マウンティングのしつけでやってはいけないこと

他のしつけの時も同じですが、マズル(口や鼻周り)を押さえて叱るのはやめた方が良いでしょう。叱られる時にはマズルを押さえられると覚えてしまうと、薬を飲ませたり鼻周りのケアをしようと手を近づけただけで、叱られる恐怖で噛み付いたり、触ること自体を嫌がってしまったりする悪い習慣がついてしまう可能性があります。

また、散歩など外出中のマウンティング行動を叱る時も、マウンティングをしそうになったその時に叱るようにしてください。あとから叱ってもなぜ怒られたのかワンちゃんには理解できません。悪いことをしたらその場で叱るというのがしつけの基本です。叱る時は騒ぎ立てず低い声を出し、悪いことをした時には声を上げて勘違いさせるような仕草をしない、というのも忘れないようにしておきましょう。

犬はもともと群れで生活をする社会性の高い動物です。孤独になるのがとても苦手なので、飼い主さんがきちんとしつけを行えば、ご主人が嫌がる行動をしないように学習してくれるはずです。

 

去勢・避妊も視野に入れてみる

しつけでどうしてもやめない場合の手段として、去勢・避妊という方法もあります。生殖器を摘出してしまうと、性的な理由でマウンティングをする子はいなくなりますし、必ずではありませんが、性格が大人しくなってわんぱくな行動自体することが少なくありません。

また望まない妊娠を避け、生殖器の病気のリスクを回避することを目的に不妊手術を行う飼い主さんもいらっしゃいます。

この手術への意見は賛否両論ですが、マウンティングですでにトラブルになってしまった場合やあまりにも手に負えないような時には一度獣医に相談してみても良いでしょう。

 

まとめ

マウンティングを放置させ習慣化してしまうと様々なトラブルを引き起こす可能性があります。ワンちゃん同士のトラブルだけでなく、他の人を巻き込んだ問題に発展する恐れもありますので、マウンティングを始め出したら、早めに対処するようにしていきましょう。
犬のマウンティング

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獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

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記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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