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子犬の甘噛みの意味を知り、叱ることなく痛い癖を治す対処法

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世間では甘噛みの意味や原因が分からず、困惑したり、むやみに叱りつけたりする場面によく出会います。
しかし、母犬から離されてたった一人(一匹)で違う家族にもらわれてきた愛犬の気持ちに立つと違うことが見えてきます。

困った癖のようにみえますが、子犬の飼主への甘え、安心してじゃれることで家族ともっと深くつながろうしているけなげな欲求を理解することで、飼い主の愛情のこもった対応ができるようになると思います。
愛犬にしっかり飼主の愛情が伝わるようにしながら甘噛みを治すことが理想です。

大切な子犬のためにも甘噛みを叱らずに、愛情で治していきながら優しい子に育てる方法をここで学んでいただければと思います。

甘噛みは制御できなくなると、成犬になってから噛み癖により保健所(殺処分)とされる場合まであります。
それは、愛犬にとっても飼主にとても不幸な出来事です。それは避けることができます。

最後までお読みいただいたときには、甘噛みの意味を分かっていただけ、迷われることがなくなると思います。
では、甘噛みのことを知り愛情をもって治せるようになる旅に出かけましょう。

目次

犬の甘噛み治しに必要なものは、飼主の「愛情」と「理解」

私の実家では長く何頭も、秋田犬を飼育していました。
いまの秋田犬は品種改良により人を襲うような激しさが少なくなっていますが、私が幼いころに飼育していた秋田犬は、闘犬と狩猟犬の血(性質)を色濃く残す気性が非常に激しい犬種の代表でした。

ですが、私は秋田犬と幼いことからずっと兄弟のように暮らしていましたが、秋田犬に噛まれて痛かった思い出は一度ありません。秋田犬は(というよりすべての犬は)とても愛情深い生き物です。

しかし、秋田犬のような闘犬の血を引き気性の荒さを持つ犬種は、制御できなくなると飼主を襲うなど大変なことになります。その荒い気性を持つ愛犬を自制させる一番重要な部分は、「愛情」です。
愛情がなければ犬は、力づくでないと制御できなくなります。


力で抑え込み飼育法は、私には理想的とは思えないです。いろいろな飼育法や対策などがありますが、ここでは愛情に基づいた甘噛みの直し方を基本にご紹介してゆきたいと思います。

これは、柴犬などどの日本犬に対しても、そして、チワワ、プードル、ダックスフント、ポメラニアンなどどの犬種にも共通して使用することができます。

愛情を伝える方法は、具体的に知っていればとても簡単です。
その意味や原因を知り、愛情を伴った適切な対策や対処で、愛情深い飼主になることができます。

甘噛みの意味や原因を知ろう

子犬の場合は、歯を痒そうにしてガジガジと手を噛んでくることはとても多いです。
とっても可愛いくもあります。

ですが子犬が「じゃれている姿が可愛いから」といって甘噛みを止めさせずに放置することは、成犬になってから危険な噛み癖となる場合があります。
飼い主さんの体に噛み付いたり、物を噛んでボロボロにしてしまったり、衣服をダメにしたりと、後々の躾(しつけ)が大変となります。
さらには噛み癖が制御できず、愛犬を泣く泣く保健所に連れていったという不幸を聞くこともあります。

甘噛みの意味や原因、そしてその対策やトレーニング方法を知らなかったというたったそれだけのことで、愛犬を殺処分としなければいけないという事態は、飼主にとっても愛犬にとっても最悪の結果といえると思います。
このような事態を避けるためにも、意味や原因を正しく知っておくことがとても重要となります。

なぜ、甘噛みをするのか? その原因・心理・行動

甘噛み行動にもいくつかの原因はあります。
例えば以下のようなもの原因になっています。
どのような場合に甘噛みするのか、その背景をみてゆきましょう。

  • 歯が痒い(乳歯の生え変わり)
  • なんでも口に入れてみたい(嗅ぐ・なめる・噛む・食べる
  • 遊び(犬がじゃれた手や指に痛み・腫れる・ミミズ腫れ・出血・あざ)
  • 本能によるもの(本気噛み)
  • 嫌悪感によるもの

歯が痒い(乳歯の生え変わり)

子犬が甘噛みする原因で、一番多いのが乳歯の生え変わりのため歯が痒い場合です。
永久歯に生え変わるまでは、どうしても歯が痒くて何かを噛みたくなります。

噛むものがないと靴(シューズ)などが何足もダメになったりしますが、生え変わるとピタリと止まることが多いです。
飼主にとって大事な靴かもしれませんが、噛んでも良いものを置いておくようにして、あまり神経質にならならずおおらかに見守ってあげるぐらいで良いでしょう。


乳歯が生えてくるタイミングは、個体によって差がありますが生後8週間前後で生えてきます。
その乳歯が、永久歯へと生え変わりまじめます。

その時期は犬種により幅がありますが、生後4か月~1歳くらいで乳歯が永久歯に生え変わります。
しかしそれまでの間は非常に歯が痒く、多くの子犬がその痒みを解消するため、気になるものを手当たり次第噛んでしまうという傾向にあります。

犬は人のように手や指で歯を触ることができないので、どうしても噛むという行動に結びつきます。

なんでも口に入れてみたい(嗅ぐ・なめる・噛む・食べる)

初めて見るものや興味のあるものは、好奇心から口の中でその噛み心地や、食べられるものかなどを確かめてみようとします。人間の赤ちゃんも同じ行動をとりますね。

口の中に入れることで、食べられる、食べられない、危険か安全か、遊べるかどうか、それがいったい何なのかを肌で確認して学習してゆきます。
何も知らない世界を一生懸命に学んでいる、子犬のけなげな努力がかわいらしいですね。

好奇心旺盛な時期には、噛んで確かめるという行動が続きます。
ソファーや机の脚といった家具などですが、コードや配線など、危険なものは噛まないように気をつけてあげてください。


このころには、飼い主の指や手などもなめたり甘噛みをしたがります。
それは、母親となった飼主との直接の愛情を感じようとする姿でもあります。
この一人で来た愛犬が新しい家族と繋がり、家族となる過程で自然に出てくる行動でもあります。

遊び(犬がじゃれた手や指に痛み・腫れる・ミミズ腫れ・出血・あざ)

激しい遊びは、子犬から3歳くらいまで続くことが多いです。
噛みたい年頃のワンちゃんがいる場合、床に物を置きっ放しにせず噛んでも良いものを準備してあげておくと良いです。

また子犬は、学ばなければ力加減が分からないです。
そのため甘噛みと言っても歯型が残るくらい思い切り噛み付いてしまったりします。

一番多いのは、乳歯は細くとがっているためわずかな圧で、手や腕などに痛み、ミミズ腫れ、出血などが起きると思います。もちろん噛み付かれても我慢できるレベル場合も多いと思います。

ただ、この「我慢が出来る」ということで、子犬だからそれを放置するというのはよくありません。
具体的な方法は後で書きますが、この行動は子犬に「甘噛みを肯定させる行為」となってしまい、噛み付くことが悪いことだと認識するどころか、「ご主人様は喜んでくれている」と勘違いさせたり、噛み付き行為をエスカレートさせたりする原因となる場合もあります。

本能によるもの(本気噛み)

犬が本能で噛み付く場合は、興奮している時や、何かを追っている時にも起きます。
例えば、他の犬と興奮して遊んでいる場合や、ボールや小枝を興奮して追いかけている場合などです。

このように感情が昂ぶると、思わず噛み付いてしまうことがあります。
驚いた時や恐怖を感じている時も同様です。

また、元々狩猟犬として活躍していた犬種では、狩猟本能で何かを追いかけている時に、噛み付き行為が出てしまうことがあります。
特に日本犬の場合には、犬の急所である尾の付け根や尾っぽを触ることで反射的に噛まれることがあります。

嫌悪感によるもの

ワンちゃんの中には、お風呂やブラッシングが嫌いな子もいます。
その嫌悪感から噛み付いてしまうことがあります。
抵抗するための噛み付きなので、唸って威嚇することもあります。
いずれも「嫌だ」という意思表示ですが、世話や躾に必要なことなので直してゆきます。

子犬の甘噛みどうしたらいい? 対策・対処・防止の前提となる基礎情報

甘噛みした時の対処としては、子犬が甘噛みしている原因によって対処する必要があります。
では、どのような対処方法があるのでしょうか?例えば、以下のようなものがあります。

  • 歯が痒くて噛んでしまう場合
  • 遊んでいるつもりで噛んでしまう場合
  • 本能で噛んでしまう場合

それでは順番に見てみましょう!

歯が痒くて噛んでしまう場合

歯が痒くて噛んでしまう場合、生理的なことなので我慢させるのは難しいです。
それを叱ってしまうことはとても大きな問題です。
特に小型犬は乳歯が抜けずに永久歯と共に残存してしまうことがよくあります。

そうなると将来その残存した乳歯を抜くための麻酔処置が必要となったり、それを放置した場合には歯周病の悪化により歯の多くを若くして失う原因となったりするため乳歯が抜けずに残り続けることは良くないことになります。

そのため噛むことを叱ったり叩いたりするのではなく、噛んでもよい犬用のおもちゃや、噛んでもいい毛布・スリッパ・ぬいぐるみなどを用意してあげることが重要です。
ロープ状のおもちゃなど噛み応えのあるものが良いです。

犬が靴やスニーカーを噛みたがる理由の一つはそこにあります。
とても頑丈なのですが、乳歯を抜くのに適度な弾力もあるためです。
一つのおもちゃを引っ張り合いながら一緒に遊んであげることで、「このおもちゃは噛んでも良いもの」と覚えさせていきます。

もし遊んでいる最中に、飼い主さんの手まで間違って噛んでしまった時には、「痛い」と言えばほとんどの子は悪いことと理解できます。
また靴やスニーカーが好きな理由は、大好きな家族の匂いが染みついているという側面があります。
一人(一匹)で母親から離された子犬が、新しい家族と一つになりたいと心から願っている心からの行動のように感じられます。

遊んでいるつもりで噛んでしまう場合

子犬が飼い主さんにじゃれて遊びのつもりで甘噛みする場合、「痛い」と伝えます。
あまり痛くない甘噛みの段階から「痛い」と伝えるようにします。
犬が甘噛みを良くないことを理解してくると、飼い主の手や匂いが恋しい時には、指などをなめて甘噛みをしないようになってきます。

本能で噛んでしまう場合

甘噛みではありませんが、本能的に噛もうとすることがあります。
これは食事用の皿の中に急に手を入れたり、しっぽや尾の付け根をつかんだり触ったときに起こりやすいです(特に食事中)。

あとは他の犬とじゃれあって遊んでいる場合に、手を出すことで噛まれる場合があります。
日本犬やポメラニアン、チワワなどでは遺伝的に本能が強い部分があるため、他の犬種よりも反射的に吠えたり、噛んだりしようとすることが多い傾向にあると思います。

子犬に甘噛みされたら狂犬病になる?

日本では狂犬病という病気自体が撲滅されており、日本で再発生がない限りは日本国内で犬に甘噛みされても狂犬病になる心配はないです。
ただ、狂犬病は日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど少数の一部の国を除いて発生し続けていますので、日本で発症したという情報が流れた場合には注意を始めればよいかと思います。

世界では現在でも一年に5万人前後の人が、狂犬病に感染して亡くなっています。
狂犬病に感染している犬が多いインド、中国、インドネシアなどアジアの国やアフリカでは、特に犬にむやみに近づく行動はとらないことが重要と思われます。

成犬(大人)の甘噛みを止めさせるための方法

余談となりますが、すでに子犬の時期は過ぎ、成犬での甘噛み(本気噛みに近い甘噛み)を原因別に対処する方法をあげていきます。
成犬の場合には家族だけでは十分に対処できない場合もあると思いますので、その場合には、ドッグトレーナーに相談されるのが良いと思います。
それでは対処法を見ていきましょう。

  • ハッキリ「ダメ」という
  • それ以上 相手にしない
  • マズルコントロール(口をつかむ、押さえる)
  • しつけは甘噛みしたタイミングに
  • お風呂 ブラッシングを嫌がる場合(病院、ペットショップ)
ハッキリ「ダメ」という

飼主が興奮しないことは大切です。強く甘噛みされたときには、大げさなリアクションしないようにします。
犬は飼い主さんが反応してくれたことで、喜んでいる場合があるためです。
犬にとっては軽い遊びのつもりが、リアクションしてもらえるので、ますます噛み付きが助長されていく場合があります。
噛まれても騒がずに「ダメ」と強くハッキリと言います。

それ以上 相手にしない

相手にせず、遊ぶことを止めることが重要です。

マズルコントロール(口をつかむ、押さえる)

犬の鼻と口の間の部分の総称を「マズル」と言いますが、このマズルを握る方法がマズルコントロールです。
マズルを手でつかんだり押さえて口が開かないようにし、噛んだり吠えたりしないようにします。

しつけは甘噛みしたタイミングに

噛み付いていない時に叱ったところで意味がありません。
噛み付いた瞬間でなければなぜ注意されたのか分かりませんし、逆に飼い主さんに対して恐怖や不信感を持たせる原因となります。
必ず甘噛みしたタイミングで注意するようにします。

お風呂、ブラッシングを嫌がる場合(病院、ペットショップ)

犬の性格によっては、お風呂やブラッシングなどを嫌がる子などがいます。
その場合の甘噛みや威嚇を止めさせるためには、言うことを聞かせようと無理やり実行しても、癖がなくなる可能性は低いです。
ますます暴れたり狂暴になってしまったりすることも多いです。
その場合には病院やペットショップなどで、シャンプーやトリミングしてもらうことが役立つでしょう。

子犬の甘噛み どうしたらいい? 対策・対処・防止法

子犬の甘噛みは、ほとんどの場合叱らず、無視せず、自然に治すことができます。
子犬の歯は乳歯です。子犬の乳歯はとがっているため、その鋭い先はわずかな圧力で、人にとても痛みを感じさせます。
乳歯がとがっているため、軽く噛(か)まれるだけなのですが、かなり痛みがします。

ですが、当の本人(子犬)は、嬉しくて、じゃれている(遊んでいる)だけで、幸せな時間でもあります。
競技犬か、特殊な犬に育てるようでしたら別の方法が必要なのかもしれませんが、ご家庭で幼少犬のジャレ噛みに対しては、叱らなくとも、無視しなくても、自然に噛まなくするようにできます。

まだ幼くて、母犬から離されて必死に家族に甘える子犬、そして、あなたと一緒にいる時間が嬉しくて嬉しくて仕方がないという子に、叱りつけたり、叩いたり、大声を出したり、無視することでの甘噛み矯正法は良い方法ではないと私は考えます。その子は、もう、二度と実の母犬と会うことは、きっと許されないのです。。。

あなただけが、あなたの家族だけが、家族なのです。
子犬が、なぜに、そんなに必死に甘えようとするのか・・・。

その彼らの心の中のさみしさや、かなしみ、不安、そして、大好きな新しい家族が目の前にいるということ、これらの悲しみを秘めた嬉しいひと時を、良い時間としてあげていただきたいと願います。

叱らなくても甘噛みをやめさせる方法は、学べば身に付けられる知識です。
あなたがもし子犬としたら、
「大好きなお母さ~ん、って抱きついたら、無視される」
「お父さん、大好きだよ~ って甘えたら叱られる」
という毎日続いたら、どんな気持ちになるでしょう。私なら、つらいです。

自然に良いことと悪いこと、それを優しく自然に教えてもらえたら嬉しいですよね!
そのために行うことは以下の2つです。

  1. 子犬に痛いと伝える
  2. 子犬の唇を横から口の内側に指で入れて、奥歯のほうに押す

1、子犬に痛いと伝える

まず子犬が噛んできて痛かったら、子犬に、「痛い、痛い・・・よ」と言います。
これは、子犬が自分の歯が当たるだけで、痛いとは理解できないから痛いということを伝えて教えます。

人の子供も、膝の上で抱っこしてて、骨が当たって痛かったら、痛いから座りなおして、って言いますよね。とても痛かったら、そのように言いますね。子供は座りなおすと思います。
同じです。
まず、こちらが痛いということを普通に伝えましょう。

2、子犬の唇を横から口の内側に指で入れて、奥歯のほうに押す

子犬の奥歯を押す

それでも噛む子は、子犬の唇を横(外側)から口の内側に指で入れて、奥歯のほうに押すと、自分が噛むと、自分の唇(皮膚)を噛むことになるので、自然に噛み方が優しくなります。
この方法により子犬が、自分自身で自分の歯が痛いということを学習できるようになります。

犬の歯は、人間の指先と同じぐらい敏感です。
嬉しくて、興奮して噛んでしまう(その心は思いっきり甘えたい)時も、子犬の唇を内側に入れる方法で、自然に自己調整できるようになります。
この方法は、大声で叱られたり、無視されたりするのとは異なり、子犬が自然に別の甘え方に転換しできるようになっていきます。

甘え方や遊び方はその子その子でそれぞれですが、お尻から抱っこされるように甘えてきたり、手や顔で甘えてきたりするようになります。
歯が当たることがあっても、以前より痛くなくなると思います。

また、痛いときも、「痛い、痛いよ。」っというとだんだんわかるようになり、調整できるようになってゆきます。
これで、少し噛み方が緩むはずです。

乳歯はとがっているので、それでも痛いかもしれませんが、我慢できる範囲内に入ると思います。
乳歯は、生後半年(約6か月 4~8か月ぐらい)で永久歯に変わります。
永久歯に変われば歯の先が丸いため痛くなくなります。

それまでは、歯の抜け変りなどで歯がとても痒いようです。
ですので、スリッパとか、靴を何足も噛み壊す子が普通です。
それぐらいは普通のご家庭であれば、多目にみてあげてもよいかもしれないです。
半年ほど(5~7か月を過ぎ一年も)すれば、歯の抜け変りによる甘噛みはなくなるのが普通です。


足を噛むときも同じように、だめだよ~って言いながら、口の横側の唇(皮膚)を口の中に入れて、歯をガジガジしているところに押し込むと、子犬は「イテテテテ~~~ 」って止めると思います。

「こうして、叱らなくても、こうすると痛いな・・・」
「お父さんやお母さんも痛がってるな」
「自分も痛いし、やめよっと!」
と、学習できるように教えることができます。

ガジガジ噛みたいときは、スリッパね!と、学べるようになります。
家庭で可愛がりつつ育てる子には、このような自然な躾でよいように思います。

ちなみに、この方法は、我が家で何頭も飼育してきた「秋田犬」で行ってきた方法です。
秋田犬は闘犬ですので気性がとても激しいところがありましたが、この方法で、自分の歯が凶器なので、家族には使用してはいけないことをすぐに理解して学ぶことができました。

愛玩犬から、気性の激しい秋田犬まで、この方法で、相手への痛みを理解させることができ、別のもっと家族が嫌がらない愛される方法を、子犬自身が自ら見つけられるようになってゆきます。

それでも、どうしても手におえないときには、ドッグトレーナーさんにお願いされるといいと思います。
通常は、このナチュラルな方法で、子犬の噛み癖は、比較的簡単に治ることが多いです。

愛情こそが飼育の基礎 ~あなたの手から愛犬に愛情を伝える究極の方法~

子犬への愛情

「子犬が、飼主に痛みを強く感じるほど噛むのですが、どうすればよいでしょう?」というご質問をよくいただきます。
甘噛みは、本気噛みに移行させないためにも適切に対応してあげる必要があります。

そして、子犬の気持ちを理解すれば、叱らずに、対応することができるだけでなく、子犬の心と飼主の心を生涯にわたり一つにする役割まで果たすことができます。
単に人の都合(目線)から叱りつけるのではなく、犬の気持ちがわかれば、必要以上にしかる必要は生じないですので、まず、「犬のきもち」の理解が大切 です!

私は幸せなことに、生まれた時から犬や猫など多くの動物に囲まれて育ちました。
実家では幼いころから秋田犬を飼っていました。
秋田犬は闘犬ですのでとても気性が激しい一面があります。
そのため秋田犬がもし噛みつき犬になったら、手の施しようがなく大変に危険な犬種でもあります。

ただ、その闘犬由来の秋田犬が人に牙を向けないよう育てる方法は、叱り付けるような躾でなく「愛情」。
そして、犬の気持ちや性質を理解した上でのちょっとした飼育場の知恵となります。
「愛情」が重要なのは、飼主の愛が伝わらなければ闘犬(秋田犬)を制御することはできないためです。
これはすべての犬(犬種)に共通していると思います。
そしてその愛情の上で、愛情のともなった教育がポイントとなります。

人も教えられていろいろな善悪を学んでいきます。
犬も同じです。
叱りつけて、押さえつける必要はありません。
犬が家族や散歩中に人から愛され、協調できるよう育ててあげるのは、親として大切な役割となります。
あまり知られていませんが、ここでは子犬が生涯にわたり、飼主から母犬と同じ愛情ややすらぎを感じられる方法をお伝えいたします。

そして、その方法を通して、子犬が飼主の状況や気持ちを察することができる、そのような躾の基礎をお伝えいたいと思います。
すでに記載したこともありますが、大事なことは繰り返しとなっていますので、確認と思って読んでいただければ幸いです。

子犬に噛まれて、激痛がします。
肌が血だらけで。。。
とにかく言うことを聞きません。
聞かせようとすると暴れだします。

というお悩みは、意外に多いと思います。

特に子犬の歯は、「乳歯」のため永久歯よりかなり先がとがっています。
そのため、わずかに触れただけで刺されたり、切り裂かれるような痛みがします。

また子犬の歯は、半年前後(長くても1年程度)で永久歯に生え変わります。
その時に、乳歯の感覚が鈍くなるので、人に強く歯を当ててしまいがちになります。

ですが、それをそのまま放置せず、それを愛犬と飼主との一体感を持てるようにする機会、としていただければと思います。
このトレーニングは、将来的に近所の子供に噛みついたりすることへの防止につながります。

また、らずに躾をする基礎となりますので、ぜひ覚えていただければ役立つことが多いと思います。
知らない方がいらっしゃったら是非、教えてあげてください。

子犬に愛情をもって教育する具体的方法とは?

子犬は、外見のかわいさと裏腹に、活発で、激しいところがあります。
そのため、それを、補ってゆく愛情ある教育の仕方が必要となります。
具体的には、このような方法で育てます。

活発になってきた子犬は、食事を1か月の間、人の手のひらから与える

犬の歯はとても敏感です。人の皮膚に歯が触っているかいないか明確にわかります。
犬の歯は、人の指先と同じぐらい敏感です。
歯を支えている部分に過敏な神経が密集しており、とても繊細な感覚がとらえられます。
そのため噛む力や、歯で触る調整が可能なのです。

人の指も敏感ですが、同じように表面は生きた細胞ではなく、プラスチックのような「角質」という死んだ細胞の層におおわれています。
人の指先が敏感なのは、その層の下に過敏な神経が密集しているので、角質のわずかな圧や温度変化まで感じ取れるようになっているからです。犬の歯も、同じ理由からとても精巧に感覚がとらえられます。

しかし、これには(人が学ぶと同じように)犬にも「教育(学び)」が必要です。
教えていないのに、「できない」とりつけるのはかわいそうです。
まず、それが基本的にいけないことだと教えてあげましょう。

また、いいことと、悪いことをその子が自主的に飼主の行動から理解しようとする心を育てます。
どのように行うかというと、

STEP
一回量の食事(フード)を用意する
STEP
手のひらにフードを適量のせる

いつもの食事のお皿の上で行うと、こぼれてもお皿の中に落ちますの拾う手間がなくなります。

STEP
犬の歯が、与えている手にあたり、少しでも痛かったら「痛い」と伝える

手に歯を痛いほどあてる食べ方を連続で2回したら、「痛い」っといって、30秒~1分半ほど手をひっこめて、食事を止めます。

STEP
再度、手の平にフードを載せて与える
STEP
犬の歯が、与えている手にあたり、少しでも痛かったら「痛い」と伝える

手に対して歯を痛いほどあてる食べ方を連続2回したら、「痛い」といって、今回の食事は取り上げて、中止します。(子犬には、1日4~6回の食事を与えます。その1回分が途中で中断するだけなので問題はありません。途中でお預けした食事の余りは、次の食事の時にプラスして与えます。)

これを子犬であれば1か月続けると、人の肌に自分の歯が当たった時に、どのレベルで人が痛みを感じ、皮膚にダメージが起きるのかが明確にわかるようになります。
育ちあがるまでの間に、このような食事の与え方を、なんども繰り返します。

この方法により、食事という最も本能的なところで、自制心を養うことができるように育てられますので、その後の躾もとてもしやすくなります。

尚、子犬の時期は成犬や高齢犬とは必要な栄養バランスも異なりますので、1歳未満までは子犬専用に開発された良質なフードをできれば与えてあげてください。

また、この時期は乳歯の生え変わりとも重なります。
そのため、思いっきり噛んでも良いものも同時に用意してあげます。
この時期に靴やスリッパをかみ壊す子も多いですが、通常は乳歯の生え変わりが完了すると、このような行動はなくなります。乳歯の生え変わりにはやや硬いものを噛むことは必要ですので、すべてを禁止するというのでなく、メリハリが重要だろうと思います。

私たちも周囲への配慮は、親や先生方から学んで身に付けます。
「痛い」は、別に怒鳴る必要などないです!
人の子供に軽く注意を与えるレベルでよいです。
このトレーニングをすることで、犬は「自分の歯をソフトに使う方法」を身に付けられるようになります。
そして、人に対して、「自分の歯を向かわせてはいけない!!」 という最も基本的なルールを学んでゆきます。
このことは、他の人への噛みつきをしないようにする上での基本となります。

その後は、わずかな飼主からの注意で言うことが聞けるようになります。
躾を基本的に叱ることがなく、身に付けるための土台ができます。

こういう小さなコツを知ることにより、噛みつきや、言うことを聞かないという理由で、保健所に送られる犬を発生させないことにもつながります。

それなので、ぜひ、犬を飼いはじめの方がおられたら、この方法を伝えてあげていただきたいと思います。(または、この内容をプリントアウトして渡してあげてください)
甘噛みから賢く優しい愛犬に育てることができます。

またあなたの愛情を伝える機会でもあります。
愛犬を叱りつけて服従させる方法は、おとなしい犬になるかもしれませんが、幸せは感じられないのではないかと思います。
その子が幸せな愛犬になるためには、相手の気持ちが分かり、あなたの愛情で結ばれることが重要だと感じます。
ドッグトレーニングの費用が発生する訳でもありませんし、無料です。

あなたの手が母親の香りと温もりを伝える

母犬から離された子犬は、親のぬくもりを感じたいという欲求があります。
食事を手から与えることは、どこかに寂しさや不安を抱えた子犬に、親の香り、愛情を感じられる触れ合いの機会となります。

このように育てた子は、寂しいときに、人の手をなめて安心できるようになります。

そして、その大好きな手でなぜられることは、母犬が子犬をなめてあげることを連想させます。
犬の祖先のオオカミは、離乳食は口から与えます。
このように手であげることで、本来は母犬にしてもらういろいろなことが、人の手で行うことができるようになります。

子犬は、ごはんをもらったときの その手の匂い、温もりを一生忘れることがありません。
あなたの手が、この子に生涯にわたり愛情を伝える魔法となります。

まとめ

獣医師・宿南章

甘噛みは、子犬期には発生するものです。
たとえ突然噛まれたとしても、驚いたり騒いだりせず、適切に対処しましょう。
子犬の甘噛みを治すのに必要なことは、何よりも飼主様の愛情と理解です。
なぜ噛まれたのか甘噛みをするのかについてはいろいろ原因がありますが、子犬の立場になって考えてあげましょう。
そして愛情をもって適切な方法でしつけをしてあげてください。

子犬の甘噛み

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獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

興味の多いテーマ

記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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