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犬の腎臓病と食事を解説、症状・原因・食べない時の対処法など

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獣医師・宿南章

犬の腎臓病について徹底解説します。
犬の慢性腎臓病は、中年齢〜高齢の犬では一般的な疾患で、5〜6歳以上で罹患率が増加するといわれています。このページでは、急性と慢性腎臓病の違い、原因や症状、慢性腎臓病の進行ステージ、腎臓に良い食べ物、食事療法のポイントなど、犬の腎臓病について詳しく紹介します。

目次

犬の腎臓の働き

腎臓は、血液の老廃物や余分な水分を尿として排出するなど、体の活動を支えるための5つの重要な働きを担っています。

1. 血液をろ過して老廃物を取り除く

腎臓は血液中に含まれる老廃物をろ過し、尿と一緒に排泄する働きがあります。

2. 体液量やミネラルのバランス調節

腎臓は、体内の水分やミネラル(リン・ナトリウムなど)を調整して、体液の浸透圧を正常に保つ働きがあります。

3. 血圧を調整するホルモンの分泌

腎臓は、血圧を調整する「レニン」というタンパク質分解酵素を作ります。血圧が低下すると腎臓でのレニン分泌が刺激され、血圧を調整するホルモンが作られます。

4. 血液(赤血球)を作るのホルモンの調節

赤血球の生産を促進する「エリスロポエチン(EPO)」というタンパク質は、大部分が腎臓で作られています。

5. ビタミンDを活性化し、カルシウムの吸収を助ける

腎臓は、肝臓で代謝されたビタミンDを活性化して、カルシウム・リンの代謝などさまざまな働きをサポートしています。

犬の腎臓病はどんな病気?

犬の腎臓病とは、腎臓がダメージを受けて機能が低下し、腎臓本来の働きができなくなる病気です。老廃物を尿として排出できなくなるため体内に毒素がたまり、「尿毒症」などの症状を引き起こします。

犬の腎臓病には慢性腎臓病と急性腎臓病の2種類がある

犬の腎臓病は、原因や症状により、慢性と急性の2つに分かれます。

  • 慢性腎臓病:腎機能の低下が3ヶ月以上持続する病気
  • 急性腎臓病:数時間〜数日の間に急激な腎機能の低下が起こる病気
慢性腎臓病慢性腎臓病
状態3ヶ月以上の持続的な腎機能低下数時間~数日間の急激な腎機能低下
原因高齢化にともなう腎機能低下農薬、腎毒性のあるものの誤食、感染症など
腎機能の回復見込めない(不可逆性)見込める
治療目標病態の進行を遅らせる腎機能の回復

犬の慢性腎臓病

犬の慢性腎臓病は、加齢とともに腎臓の機能が低下していく病気で、中年齢〜高齢のシニア犬では一般的な疾患です。犬の年齢が5〜6歳以上で発症率が増加する傾向にあります。

以前は「慢性腎不全」とも呼ばれていましたが、現在では「慢性腎臓病」という用語が主に使用されています。

犬の慢性腎臓病は初期症状がほとんど現れず、進行すると回復は見込めません。そのため、5~6歳頃から定期的に検査をおこない、早めに発見・対策することが重要です。

犬の慢性腎臓病は、病状の進行状況によって以下の4つのステージに分類されます。

スクロールできます
ステージ症状治療・対策腎機能クレアチニン濃度(mg/dL)SDMA(μg/dL)
・初期・早期の慢性腎臓病の状態。
・一般的に無症状
・腎臓に負担となる食物などを与えない。33%程度まで低下<1.4<18






・初期・早期~中期の慢性腎臓病の状態。
・無症状~軽度の症状あり。
・ほとんどの犬が元気で食欲もあるため、異常に気づかないこともある。
・腎臓病用の食事療法を開始する。25~33%程度まで低下1.4~2.818~35






・中期の慢性腎臓病の状態。
・食欲の低下や嘔吐などの症状。
・血液検査で腎機能の指標となる数値である、CRE(クレアチニン)、BUN(尿素窒素)の上昇がみられる。
・腎臓病用の食事療法を行う。
・新鮮な水をいつでも飲めるようにする。
10〜25%まで低下2.9~5.036~54
・末期の慢性腎臓病の状態。
・尿毒症の重篤な症状がみられる。
・ステージⅢの治療法に加え、透析などを考慮する。5~10%まで低下>5.0>54
  • ステージ1:犬の慢性腎臓病の初期・早期の状態。無症状。血液検査でも異常値は見つからず、尿検査で尿比重の低下や蛋白尿、腎臓の形状の異常が認められることがある。
  • ステージ2:犬の慢性腎臓病の初期・早期~中期の状態。無症状、または軽度の兆候が現れる。
  • ステージ3:犬の慢性腎臓病の中期の状態。血液中に尿素がたまることで尿毒症を発症し、口腔粘膜や胃粘膜が荒れ、口内炎や胃炎になりやすい。
  • ステージ4:犬の慢性腎臓病の末期の状態。尿毒症が進行し、生命維持のために積極的な治療が必要。

犬の慢性腎臓病の原因

犬の慢性腎臓病は、腎臓を構成する「ネフロン」が加齢などで傷つき、腎臓の機能が低下する病気です

犬や猫の腎臓は数十万個のネフロンから構成されています。このネフロンは、糸球体とそれを包むボーマン嚢、これらに繋がる尿細管で構成されています。このネフロンが、血液の老廃物をろ過するなどの重要な働きを担っています。

腎臓を組織するネフロンは加齢とともに傷つき、機能が低下していきます。この腎機能の低下が、慢性腎臓病の原因となります。

犬の慢性腎臓病の症状

犬の慢性腎臓病は、進行とともに以下のような症状が現れます。

  • 食欲が落ちる、痩せる
  • 口内炎や胃炎により口からアンモニア臭がするなど口臭が臭くなる
  • 毛並みがパサパサする、毛づやが悪くなる
  • 嘔吐や下痢をおこす
  • 散歩に行きたがらない

この他にも、おしっこの量が増減する、水を飲む量が増えるなどの症状が出ることもあります。

慢性腎臓病は、ネフロンが半分以上機能しなくなるまで症状が現れません。そのため、愛犬の異常に気づいたときには、すでに病状が進行しているケースが多くあります。これらの症状が現れたり気になるときは、まずは動物病院で受診しましょう。

犬の慢性腎臓病の治療と対策

加齢などで低下した犬の腎機能は回復できません。そのため、犬の慢性腎臓病の対策では、腎臓に負担をかけない食事療法などで腎臓病の進行を遅らせることが重要です。

慢性腎臓病の食事療法は、タンパク質・リン・ナトリウム・カリウムなどさまざまな栄養素を調整する必要があります。

犬の急性腎臓病

犬の急性腎臓病は、なんらかの原因で数時間〜数日の間に腎臓の機能が低下してしまう病気です。「急性腎障害」「急性腎不全」とも呼ばれます。

犬の急性腎臓病の原因

犬の急性腎臓病の主な原因は、以下のものがあります。

  • 農薬(殺鼠剤、駆除剤、除草剤など)がついた草・食物を食べた
  • 人間用の薬(鎮痛剤など)を食べた
  • 腎臓に毒性があるもの(ブドウ、ユリなど)を食べた
  • エチレングリコール(農薬、保冷剤など)を食べた
  • レプトスピラなどの感染症
  • 尿路結石、尿路腫瘍などの発症

犬の急性腎臓病の症状

犬の急性腎臓病の代表的な症状は、以下のようなものです。

  • 急にぐったりする
  • 嘔吐
  • 呼吸が荒い
  • 意識の低下
  • 尿量の減少、排尿がなくなる
  • 脱水状態 …など

犬の急性腎臓病の治療と対策

急性腎臓病は治療が遅れると、命に危険を及ぼします。すぐに獣医師に診察してもらいましょう。急性腎臓病の場合、点滴や投薬などの適切な治療を動物病院で受けることで、腎機能が回復する可能性もあります。

また、急性腎臓病で腎臓にダメージを負った犬は、慢性腎臓病になりやすいといわれています。治療後も定期的に検査するなど、注意深く愛犬をケアしましょう。

犬の腎臓病に良い食べ物と食事療法のポイント

犬の慢性腎臓病は、腎臓に負担となる食物を制限したり、腎臓の療法食を取り入れたりして、病気の進行を遅らせることが重要です。そのための食事療法のポイントをご紹介します。

リンの制限

腎臓病の犬がリンを過剰摂取することは、慢性腎臓病の進行および死亡リスクの増加と関連があるとされています。リンは骨や歯、細胞などをつくるために大切な栄養素ですが、慢性腎臓病の食事療法において、リンの制限は特に重要です。腎臓病用の療法食を与えるなど、食事のリンの含有量を制限しましょう。

タンパク質の制限

タンパク質は、犬や猫の食事に重要な栄養素です。しかし、タンパク質は尿素に変化する窒素(尿素)を含むため、過剰摂取すると腎臓のろ過作業が増え、負担がかかります。そのため、腎臓病の食事には適度にタンパク質を制限することが重要です。

ナトリウムの制限

慢性腎臓病が進行するとナトリウムの排出能力が低下し、血圧上昇などを引き起こします。とくに、心臓の病気も持つ犬は血圧上昇が負担となるため、ナトリウムの摂取量を調整しましょう。

必須脂肪酸(オメガ3系不飽和脂肪酸)を含む食事

必須脂肪酸(オメガ3系不飽和脂肪酸)は、ネフロンの毛細血管の炎症を緩和することが知られています。そのため、オメガ3系脂肪酸を含んだ食事を与えることで、腎機能低下の進行を遅らせる効果が期待できます。

水分を多く補給する

腎臓病により腎機能が低下すると、体内に必要な水分量を確保できず、脱水症状になる危険性があります。愛犬がいつでも新鮮な水を飲めるようにしておくなど工夫してみましょう。また、犬が水分をあまりとらない場合は、動物病院で皮膚の下から点滴液を入れ水分を補給する方法もあります。

エネルギー

腎臓病の療法食は、効率的にエネルギーを補給できるよう、少量でも多くエネルギーをとれるように調整されています。通常のドッグフードと給餌量が異なりますので注意しましょう。また、療法食の給餌量は犬の体重によって変化しますので、療法食の説明をよく確認して与えるようにしましょう。

犬が腎臓病の食事を食べない時の対処法

腎臓病の犬は食欲が落ちることが多く、療法食へ急に切り替えると愛犬が食事をあまり食べなくなる可能性があります。

そのため、腎臓病用の療法食への切り替えは、1週間〜1か月程度の時間をかけて、これまでのドッグフードから療法食へ少しずつ変更していくのがポイントです。普段食べているドッグフードなどの食事に、腎臓病用の療法食を徐々に混ぜるなどして、少しずつ慣らしていきましょう。

慢性腎臓病はステージが進むほど食欲の低下がみられます。犬の食欲が低下してきた場合は消化吸収を良くして食欲をそそるようにするため、以下のような工夫を試してみましょう。

  • フードを温めて匂いを増す
  • ドライフードを柔らかくして食べやすくする
  • 食事を少量ずつ数回に分けてあげる

療法食への切り替えについて、以下の記事も参考にしてみてください。

犬の腎臓病用の療法食がおすすめ

犬の腎臓病は、食事管理が大切です。手作りの食事や生食で与えたい方もいると思いますが、腎臓病に最適なリン・カルシウムなどのミネラル、タンパク、エネルギーを計算・調整するのは難しいでしょう。

腎臓病の犬ために最適な栄養を配合した療法食を取り入れながら、愛犬をいたわるようにしましょう。

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獣医師・宿南章の愛情ごはん療法食

獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

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記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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