獣医師・宿南章開発!ドッグフード・療法食の販売はこちら 販売サイトへ

犬の便秘はフードが原因かも?予防と対策、病院にいく判断は?

  • URLをコピーしました!

犬も便秘になってしまうことがあります。この犬の便秘は単純に排便がないというだけでなく、病気が隠れていたり、便秘の状態が長く続くことで大病のきっかけになってしまうこともあります。

毎日しっかりウンチが出ていない時には腸内に何かしらのトラブルが発生している可能性が考えられます。

なぜ便秘になるのか原因を知って、腸内トラブルに早く気がついてあげられるように普段から愛犬の様子をチェックしておきましょう。また、毎日の食事で便秘を予防してく方法もお伝えします。

目次

犬の便秘とは?

犬の便秘は、便の中の水分量が少なくなってしまいウンチが出にくくなっている状態です。
人が便秘になるのとまったく同じです。
ただ、便秘になる原因や理由は人と違うこともありますので、ワンちゃんの便秘に気がついた時には早めに対処してあげましょう。

便秘かどうかの判断は?

犬の排便回数は、体調の良いワンちゃんで平均2~3回くらいが正常となります。
変わったことがなければ毎日規則的に排便されますので、このサイクルが大きく乱れるようであれば「便秘である」と考えましょう。

排便サイクルが不規則なワンちゃんでも2日以上ウンチが出ない時は便秘です。
もし2日以上のもっと長い期間で排便がない状態であれば、何かしらの病気にかかっている可能性があります。
ワンちゃんの腸にトラブルが発生していることが考えられますので、病院での処置が必要になってきます。

全く何も排出されない便秘もありますが、コロコロウンチや細長く絞り出されたようなウンチも便秘の一種です。
便が十分に排出されていない状態ですので、対策や注意が必要になります。

仕草や様子で便秘がわかる?

便秘はウンチが出にくい状態なので、排便の時に痛くて鳴くワンちゃんもいます。
便がなかなか出ないのに、頻繁に排便の姿勢をする子もいますので、仕草や様子で気がつく時もあるでしょう。

気をつけてみてあげたいのは、ぐったりして元気がなかったり、お腹を触ると痛がったり嫌がったり、その時に身体を丸めるような姿勢になるようでしたら、ウンチが出ないこと以外の原因が隠れている可能性があります。

いつもと様子が違い、嘔吐したらすぐに獣医に相談するようにしましょう。

便秘の原因は?

病気が原因のこともありますが、環境が原因のこともあります。
どの原因が当てはまるのかは、実際のワンちゃんの状態や症状などによって判断しましょう。
もちろん、わからない時は獣医に相談することが大切となります。

便秘の原因では以下のような事が考えられます。

  • ストレス
  • トイレに対するトラウマ
  • 水分不足、運動不足
  • 普段の食事が合わない
  • 病気が原因
  • 異物の誤飲
  • 排便するのが痛い
  • 蠕動運動の低下

では、順番に見ていきましょう!

ストレス

犬だけでなく動物は環境の変化に敏感です。
家族の引越しで住む場所が変わったり、新しい家族が増えたり、飼い主の方の生活リズムが影響することがあります。

例えば散歩に行く時間帯が変わったり歩く距離が日によって違ったりすることだけでも、ワンちゃんの体内時計が狂ってしまうこともあるのです。

人間にとっては小さな変化も、動物にとっては大きなストレスになることがありますので、出来るだけいつも同じ状態を心がけ安心させてあげましょう。

トイレに対するトラウマ

ストレスに関連しますが、トイレの訓練中に嫌な怒られ方をした子は排泄行為自体がトラウマになっていることがあります。
トイレ自体が苦手なので、ウンチをすることを嫌がって便秘になっているのかもしれません。

このような場合、怒られたことを払拭する必要がありますので、トイレが出来た時にはしっかり褒めてあげ、もし失敗しても怒らずに根気よく教えてあげてください。

便秘が続いて病気になるよりもワンちゃんの健康が第一です。

水分不足、運動不足

水分、運動のどちらが不足しても便秘になりやすくなります。
腸に十分な水分が届いていないとウンチが硬くなって出にくくなり、便秘につながります。

また、身体を動かすことで腸の動きが活発になり、蠕動運動が起こることで便意をもよおします。
摂取する水分量が減っているのであれば、もしかしたら運動不足が原因かもしれませんので、お散歩での運動量を調整してみてください。

時々は広い公園に行くなどして、ワンちゃんが思い切り走れる環境を作ってあげるのも健康作りに必要です。

普段の食事が合わない

食事が合わずに便秘になるワンちゃんもいます。
添加物によるアレルギーの可能性もありますが、多くは植物性たんぱく質が消化出来ていないことが原因です。
植物性たんぱく質とはとうもろこし・小麦・大麦などの穀類のことです。

量販店のドッグフードの中には安く量を担保するために穀類が混ざっているものが多いのですが、犬は穀類の消化が苦手な動物なので、食事が合わないと便秘になる子もいます。

普段の食事であげているドッグフードを変えたら便秘が改善されたというワンちゃんもいますので、成分表示などを確認して動物性たんぱく質の多いものに変えてみるのも良いでしょう。

病気が原因

病気が原因で便秘になっているケースには、腫瘍や癌、ポリープ、会陰ヘルニア、椎間板ヘルニア、男の子のワンちゃんで未去勢の場合には前立線肥大で便秘症状が出ることがあります。

いずれも便秘以外の症状が同時にあらわれますので、普段と変わったことがないかどうか、他にどのような症状が出ているかの記録を取っておくと良いでしょう。

異物の誤飲

消化管に飲み込んでしまった異物が詰まってしまい腸閉塞を起こしている時には排便が出来ません。
腸閉塞は最悪の場合命を落とすこともある危険な状態なので、すぐに獣医に診察をしてもらいましょう。

排便するのが痛い

ワンちゃんの中には稀に肛門や直腸が狭くなっている子がいます。
他にも肛門付近に傷があったり、腫瘍が出来ていると、排便時に痛みがありウンチをするのをしぶるようになってきます。


排便を嫌がる理由が身体的なことなので、程度によっては外科手術などで改善する可能性もありますが、便秘の状態が長く続くと内科的な病気を発症してしまう確率も高くなります。

食欲があり運動量も水分量も足りているのに便秘が続くような時は、排便したくない理由を考えてみましょう。

蠕動運動の低下

腸の蠕動運動が弱まると排便機能自体が弱まってしまいます。
原因は色々考えられますが、自然発生的なものでは老化現象が挙げられます。

犬も年老いたら筋力は低下しますので、腸の動きは若い時よりも鈍くなってきます。
筋力で押し出せない分、ウンチが出やすくなるなるように食物繊維を多めに取ったり、消化のしやすいフードに変えてあげるなど対策してあげましょう。


運動不足の場合も蠕動運動が鈍くなることはありますので、排便のために適度な運動は心がけてあげてください。

便秘にならないための対策は?

便秘の時は、腸内でウンチが水分を吸収してしまっている状態なので、腸内の水分を増やしてあげるためには、多めに水を飲ませます。
また、蠕動運動を活発にするためいつもより長めにお散歩に出たりするなど、運動量も調整してあげる必要があります。

ただし、水分量が多すぎても下痢をしてしまったり、運動量が多すぎても心臓に負担がかかったり咳が出るようになったりと、個体の大きさにもよっては別の不調が発生する要因にもなりますので、水分量も運動量もその子の体調を確認しながら適切に行うのが一番です。

食事対策で予防できることもありますので、便秘にならないようよう毎日の健康を気遣ってあげましょう。

便秘を治す食事改善の方法

まずは普段から食べているドッグフードを見直しましょう。
多くの場合で今食べている食事が合わずに便秘になっていて、フードや食事を変えたら便秘が改善したというワンちゃんも大勢います。

主な食事改善のポイントは以下になります。参考にしてみてください。

  • 植物性たんぱく質の量をチェック
  • 水分量を見直す
  • サプリメントで解消

植物性たんぱく質の量をチェック

一般的な量販店で販売されているドッグフードには、とうもろこし・小麦・大麦といった穀類が多めに含まれています。
犬は植物性たんぱく質の消化が苦手なので、そもそもドッグフードが合わなくて便秘になっていることがあります。
飼い主の方は、ドッグフードの成分表示を一度確認してみましょう。


穀類などの炭水化物が多く含まれているようであれば、動物性たんぱく質の多いフードに変えてみることで便秘症状が良くなる可能性があります。

そして人間も同じですが、便秘には食物繊維が有効です。
繊維質が多すぎると逆にお腹がゆるくなってしまいますが、適度に繊維質が含まれているフードが便秘予防には良いです。

水分量を見直す

摂取した水分の大半は尿として出ていってしまいますので、便秘の時は特別腸内に水分が行き渡っていない状態です。
水分量が不足しているので、硬いウンチが更に硬くなり、状態が悪化してしまいます。
ワンちゃんが便秘の時には多めに水分を与えるようにしましょう。

犬が1日に必要な水分量は「体重(g)×0.05~0.07ml」で計算することが出来ます。

例えば、体重が5kgのワンちゃんだと1日に必要な水分はおよそ250~350mlとなります。
ですので、500mlのペットボトルで半分以上は水を飲まないとそもそも不足している状態になります。

体重によって量は異なってきますので、大型犬ではそれ以上の水分が必要です。
水が自由に飲めるかどうか水飲み場の見直しや、飲料で水分量が確保出来ない時にはドッグフードをふやかしたり、水分量の多い生野菜を活用して便秘を予防する工夫をしてみましょう。

サプリメントで解消

食事や水分量を改善することで便秘が解消されたら必要はありませんが、酵素や乳酸菌を上手に取り入れることで便秘を改善する方法もあります。
酵素は消化管の働きを補助してくれますし、乳酸菌は腸内環境を整える作用があります。
出来れば普段の食事改善で解消されることが望ましいので、まずは毎日食べているフードから見直してみてください。

便秘に効く食べ物はある?

人間の食べ物で、犬が食べて便秘に効く食品もあります。
少量あげるだけでも便秘改善の手助けになりますので、専用フード以外の食品も取り入れてみるのも手段として悪くはありません。

便秘改善に役立つ食べ物は以下になります。

  • ヨーグルト
  • りんご
  • さつまいも
  • オイルやバター

なぜ役立つのか見ていきましょう!

ヨーグルト

ヨーグルトには乳酸菌が含まれているので、腸内環境の改善に効果的です。
ただ乳製品なので、乳糖不耐症のワンちゃんは下痢をしてしまう可能性があります。
もし与えてみる場合は、少量を少しずつ様子を見ながらあげてみてください。
砂糖が入っているものは虫歯になりますので、必ず無糖のプレーンタイプのものを選びましょう。

りんご

りんごの繊維は水分を含みやすいのでウンチが硬くなるのを防いでくれます。
また、りんごにはペクチンが多く含まれますので腸内環境を改善してくれます。

りんごのペクチンは皮と果実の間に含まれているので、このペクチンを上手に摂り入れる場合には、皮は剥かずに与えるようにします。
ワックスや農薬がかかっていることが多いので、表面はしっかりと洗ってから与えてください。

さつまいも

さつまいもは食物繊維の豊富な食品です。
排便を促してくれますし、繊維が腸内の掃除もしてくれます。

いずれにしても食べ過ぎは身体に良くないので普段の食べているフードの補助食品として、少量をあげるようにしましょう。

オイルやバター

人間も最近では便秘の時にオイルを飲んで硬い便を出しやすくすることがありますが、犬に与えても問題はありません。

摂取するのはオリーブオイルが多いですが、このオリーブオイルに含まれるオレイン酸が腸の蠕動運動を助ける働きをします。他にもバターなど、油分はウンチを油の膜でコーティングしてくれるので、排便しやすくなります。
バターは無縁バターのみ、いずれも少量を与えます。
オイルだけで与えるのは難しいので、ドッグフードにかけたり、混ぜたりすると与えやすいでしょう。

便秘が続くようなら病院へ

食事改善や運動量を調整するなどしても便秘が解消されず、排便のない状態が4日以上続くようであれば病院で受診をしましょう。

その際は便秘の状態を伝えてほしいので、以下のようなことを記録していきましょう。

以下のような事をしっかり伝えましょう
  • いつから排便がないのか
  • 少しでも便が出ている場合にはどんなウンチか(色や形状など)
  • 他の症状がないか(嘔吐・震え・発熱など)
  • 普段と違うことがあれば(元気がなくなった、おとなしくなったなど)

健康のワンちゃんのウンチはバナナ型で軽く押した時に潰れる程度の硬さであると言われます。

毎回正常な便が出ているかどうか普段から確認しておき、いつもと違うウンチをした時は記録として写真を残しておくと、愛犬の健康状態がより分かりやすくなります。

まとめ

獣医師・宿南章

動物の便は健康のバロメーターでもあります。
どのようなウンチが出ているかによってその日の体調だけでなく病気の発見に繋がることもあります。

下痢をしているのか便秘をしているのかで食事や水のあげる量も変わってきますから、飼い主の皆さんは日頃からワンちゃんのウンチの状態をチェックしておきましょう。

犬の便秘

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

ショッピングサイトはこちら

獣医師・宿南章の愛情ごはん療法食

獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

興味の多いテーマ

記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
記事の目次
ページTOP
目次
閉じる