「雪やこんこ」で歌が始まる「雪」と言う童謡にもあるように、犬は寒いところが好き、喜ぶと思っている飼い主さんも少なくないのではないでしょうか?日本犬は屋内で飼われていなかったこともあり、冬に強い犬種と言えますが、暖かい国が原産となる犬種は必ずしも冬が得意と言う訳ではありません。冬に強い犬種もいれば、冬に弱い犬種もいるのです。
ここでは、寒がりな犬種とすぐできる防寒対策について詳しく見ていくことにしましょう。
愛犬は寒がり?暑がり?
犬の体温は人間よりも高く、もともと寒さには耐性があります。しかし、犬種や年齢などによっては、寒さに強いと言いきれないことも。飼っている犬によって寒がりなのか、暑がりなのか、知っておいてあげることが大切です。
犬が寒がっている場合、次のような仕草を取っていることがあります。以下のような寒がる行動が見られる場合、もしかしたら冬に弱い犬種と言えるかもしれません。
・ゲージや部屋の中で常に隅っこにいる。丸まっている。
・ベッドの下など狭い空間にいることが多い。
・ビデオやテレビなど電化製品の側にいることが多い。
・ブルブルと常に震えている。
・人のいる場所にすぐに来たり、人の上に乗ってくることが多い。
・ベッドや布団の中に潜るのが好き。
・冬、寒くなると水をあまり飲まなくなる。
上記のような行動が見られる場合、寒がっている可能性があります。
愛犬の原産国がもともと温かい国である場合は寒さに弱いことも考えられます。では、寒がりな犬種とはどういう犬種なのでしょうか?
冬が苦手な犬種とは?
日本の冬は寒さが厳しいですよね。地方によって冬の気温も変わってきますが、関東地方を例に挙げてみても、寒い時期は氷点下まで気温が下がります。もともとの原産国が暑い地方と言う場合、その犬種は寒さに弱く、寒さになれると言うようなこともありません。飼い主さんがしっかり防寒対策をしてあげる必要があるのです。まずは、寒がりな犬種から見ていくことにしましょう。
幼犬・老犬
幼犬や老犬は体の体温調節機能も完全ではないことから、寒がりです。飼い主さんがしっかりと寒さ対策を施してあげることが大切です。また、成犬であっても、病気の前や後は寒いと感じることも多くなります。部屋を暖かく保ち、病気が完全に治るまで体を温かくしてあげるようにしましょう。
小型犬
体重が10㎏以下の犬種を主に小型犬と呼んでいます。小型犬は、体が小さく体温がすぐに奪われてしまうことや地面に近い位置で過ごしているため、地表からの冷気の影響を受けやすく、とても寒がりです。
特にミニチュアなどと名前が付いている犬種は5kg以下と言うこともあり、寒がりの子が多くなっています。犬種に着目することも大切ですが、小型犬の場合は、全般的に寒がりと認識しておくと良いでしょう。
・チワワ
・トイプードル
・ヨークシャテリア
・イタリアングレーハウンド
・ミニチュアピンシャー
・マルチーズ
などです。
スムースコート
毛足が短く直毛な毛質を持ったスムースコートの子も、寒がりな犬種と言えるでしょう。スムースコートの犬の場合、他の毛質の子と比べ、毛の中に温かい空気を溜めることができません。そのため、寒い空気が直接、体温に影響を与えてしまうため、冷えにとても弱く寒がりです。
・スムースコートチワワ
・ブルドッグ
・ダックスフンド
・ミニチュア・ダックスフンド(スムース)
・スムース・フォックス・テリア
・スムース・コリー
・ウィペット
・ボクサー
・パグ
・ドーベルマン
・ミニチュアピンシャー
などです。大型犬もいますが、やはりスムースコートの子の場合は寒がりと思っておいてあげることが大切です。
シングルコート
シングルコートと相対してダブルコートがありますが、ダブルコートの子はアンダーコートが生えるため、寒さに強い犬種と言えます。逆にシングルコートの犬はこのアンダーコートがあまり生えないため、保温や保湿の調節がきかず、気温の変化に対応できない犬種と言えるでしょう。
犬の毛は本来ダブルコートでしたが、南国原産の種であったり、また室内犬として毛が抜けにくいことで飼いやすく品種改良されているため、体温調節を行うことができない犬種となっています。スムースコートほどではありませんが、飼い主さんが気温の変化に応じ、注意してあげることが大切です。
・シーズー
・パピヨン
・マルチーズ
・ヨークシャテリア
・フレンチブルドッグ
・プードル
・グレーハウンド
・グレートデン
などです。
愛犬のために寒さ対策を
犬にとって最適な温度は犬種によっても異なりますが、一般的に20~25℃前後です。湿度も50度から60度が最適と言われていますので、室内で犬を飼っている場合にはこの温度と湿度に着目し、飼い主さんが調節してあげるようにすると良いでしょう。
また、部屋の中にいても足元ばかり冷えるように地面から冷気を感じることも多いですので、人より地面に近い場所で生活する犬のためにも、下からくる冷えを防いであげることを心掛けてください。具体的な方法を見ていきます。
ゲージの設置する場所
夏の間は日の当たる場所は熱中症などの心配もあり危険ですが、やはり寒い季節は太陽の当たる暖かい場所に移動してあげると良いです。ですが、ずっと直射日光の当たる場所は念のため避けるよう心がけましょう。
また、夜になると窓の近くは冷気を感じることも多くなりますので、避けることも大切です。部屋の中で程よく暖かさを感じることのできる窓際ではない場所にゲージを移動させてあげましょう。
ベッドや毛布を活用しよう
ゲージの中でじっとしていると犬も寒さを感じてしまいます。そんな時活躍してくれるのが毛布やふかふかのベッドです。直接地面からくる冷気に触れることなく過ごすことができますので、寒さをしのぐことができます。
エアコンやホットカーペット、床暖房
ファンヒーターなどは、やけどの恐れがあるため、犬には危険な暖房器具と言えますが、エアコンやホットカーペット、床暖房などであれば、安全に暖を取ることができます。夜間も弱くつけてあげると寒がりなワンちゃんでも暖かく眠ることができます。
ただしエアコンなどは直接風を当てないことが大切です。また、万が一犬が暑いと感じた時に別の場所に移動できるようスペースを設けておくことも忘れないようにしてください。低く安全な温度に設定してあげることも忘れないようにしましょう。
洋服を着せる
寒がりな犬にとって、防寒となるのが洋服です。部屋で暖かさを補うために着せたり、外出時、散歩の時などに着せる洋服を分けて用意してみると良いでしょう。普段から愛用していると嫌がることもなくなりますので、慣らしておくことも大切です。服を着せることで愛犬の健康を守ることができますので、ぜひ洋服を防寒対策の一つとして取り入れてみてください。
加湿をする
空気が乾燥していると、寒く感じてしまいます。加湿器を付けて乾燥からも守ってあげると良いでしょう。また、冬は空気が乾燥しているため、愛犬も風邪などのウイルス性の病気にかかりやすくなります。そうしたデメリットを軽減できる点も加湿器の良い所です。
ただし加湿器によっては熱い蒸気を噴き上げ、やけどしてしまうものもありますので、気を付けましょう。安全なものを使用するようにしてくださいね。
段ボールで防寒
段ボールは紙でできていますが、その間に空気の層を含むことができるため、防寒にも活躍してくれます。床など直接冷気を感じる場所に置いてあげると良いでしょう。
ゲージの床部分にまず段ボールを敷いて、その上に毛布を置くだけで暖かさは格段に上がります。寒さが厳しい地域などでは、段ボールでゲージの一部を囲んであげても効果的です。蓋の部分だけを切り離し、簡易のベッドとして使うこともできますよ。
断熱材を使う
外や室内でも寒い場所に犬を置く場合、断熱材を使用してみてはいかがでしょうか。段ボールより、効果的に冷気を遮断することができます。ただし愛犬が噛んでしまわないよう配慮が必要です。タオルなどで包んだり、段ボールなどで直接噛んだりできないよう工夫してみると良いでしょう。
湯たんぽの活用
市販でも犬の湯たんぽは売られていますが、わざわざ購入したくないと言うのであれば、ペットボトルの湯たんぽを使ってみると良いでしょう。温かいお湯をペットボトルに入れ、ペットボトルカバーなどで包めば完成です。寒さに合わせてゲージの中などにいくつか入れてあげると活躍してくれます。簡単にできる防寒グッズですので、ぜひ試してみてください。
ペット用暖房器具の使用
ペット用の暖房器具を活用してみるのも防寒対策としては有効です。ゲージの中に引くことのできる小さめのヒーターやレンジで温めて使うことのできる簡易の湯たんぽのようなものなど多く販売されていますので、愛犬のために購入を考えてみると良いでしょう。
寝袋を使った防寒対策
フリースやボア、キルト素材の寝袋も売られていますので、そうしたものを活用してみるのも良いでしょう。1枚の布を寝袋の様に縫い合わせていますので、その中に入るだけで寒さをしのげます。
購入するのがもったいないと言うのであれば、人間のお古を代用してみるのもアリです。フリース素材の着古したものをゲージに入れてあげるだけで、愛犬もその中に入り、暖を取ることができます。安全のためにも、犬が一人でもぐることができ、一人で抜けられるものかどうか、必ず確認してから与えるようにしてくださいね。
寝る時には布や毛布でゲージを覆う
冷え込みの激しくなる夜には、ゲージを布などで覆ってあげましょう。外から吹き込む冷気が届かなくなり、布をかぶせた内側の温度を暖かく保つことができますので、寒さ対策となります。
食事を工夫する
体を温めることのできる食事に変えてあげるのも防寒対策となります。肉や野菜をカットし、茹でたり蒸したりしたものを与えてあげると良いでしょう。温かいものを食べれば、それだけで体が温まります。また、バランスがとれた食事を与えることも大切です。食事メニューも工夫してあげましょう。
暖房器具の使用には注意しよう
熱伝導率の良い暖房器具は、ふとしたことから犬にやけどを負わせることも少なくありません。犬は被毛で覆われていますが、これは寒い外気などから肌を守るためです。しかし、その機能が優れているおかげで暖房器具の熱が感じにくくなってしまいます。こたつやホットカーペットなどは直接のやけどを負うことも少ない安全な暖房器具ですが、直接熱源に長時間触れていると低温やけどを起こしてしまうことも。
そうならないためにも、タイマーなどを上手く活用したり、飼い主が見守っていてあげることが大切です。暖房器具を使用している時は、決して犬から目を離さないようにしましょう。特に、仔犬や老犬などは暖房器具の上や前で寝入ってしまうことも多く、危険です。十分注意を払いよう心がけてください。
外との気温差にも注意
室内は暖かくても外に出ると寒いですよね。ワンちゃんも同じように寒いと感じてしまうため、寒暖差に注意してあげるようにしましょう。
室内では薄手の洋服を着せていても外出させるときには厚手のものを着せると言った配慮が必要です。犬用のコートなども多く販売されていますので、購入を考えてみると良いでしょう。
また、犬用の靴を履かせてあげるのも寒さ対策となります。肉球が冷たいコンクリートの上に直接触れると寒さを感じてしまいますが、靴を履いていればその寒さも和らぎます。雨の日の散歩なども体温が余計に奪われてしまいますので、レインコートを着せるなどして、万全の防寒対策をしてあげましょう。その時々に応じ、自分の愛犬に合った防寒対策を取ってあげてください。
まとめ
犬は犬種によって寒さが得意な子とそうでない子がいます。仔犬や老犬は当然ながら、小型犬やスムースコート、シングルコートの犬などは寒さにも弱く、日本の冬は特に厳しいものです。気温の低下や急激な温度差は、単に寒いと言うだけでなく、犬の心臓にも大きな負担をかけてしまいます。実際に冬に心臓疾患を患う子も多くなりますので、大丈夫だろうと安易に考えるのは危険です。
愛犬の健康を守るためにも、飼い主さんがしっかりと防寒対策してあげると良いでしょう。アイテムを活用して寒さを防ぐことはもちろんのこと、食事のバランスを整えたりして、寒さに負けない体作りを心掛けるようにしてくださいね。