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犬の血液検査のクロール値(Cl)で高い時、低い時に疑われる病気は?

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愛犬の血液検査でクロール(Cl)の数値が基準値を外れている場合、飼い主さんは愛犬の健康状態が気になってしまうと思います。血液検査の検査項目を理解してみるということは難しいのですが、愛犬の身体の状態を知るためにはクロール(Cl)とは何なのか、数値が高い場合、低い場合にはどんな病気などの心配があるのかということを飼い主さんは知っておくことが大切です。

犬の血液検査のクロール(Cl)について詳しく見ていくことにしましょう。

目次

クロール(Cl)とは

人間の体の約70パーセントが水分です。この水分というものには細胞液や血液の血漿というものもありクロール(Cl)はそのうちの1つです。

クロール(Cl)は食塩のことですが、クロール(Cl)は体内に食塩として取り入れられて、その多くは汗や尿や便として排泄されます。クロール(Cl)は電解質で人間の体内にある水分は電気を通す電解質です。

 

電解質とは

電解質である水分が人間の体を維持するために非常に大切な役割を果たしています。電解質のバランスは浸透圧の調整、酸塩基平衡の維持などに関わってきます。電解質の成分が良いバランスに整っていることが大切であり、このバランスが崩れると病気になることがあります。

体内の電解質としてクロール(Cl)の他にも、ナトリウム(Na)、カリウム(K)カルシウム(Ca)がありますが、クロール(Cl)は体内に酸素を供給する働きがあり、ナトリウム(Na)は身体の水分を調節する働き、カリウム(K)は筋肉や神経に関わる働き、カルシウム(Ca)は骨や歯の形成、神経刺激の伝達、血液凝固に関係しています。

体内のイオン濃度のバランスが崩れることで体内が酸性に傾いたり(アシドーシス)、アルカリ性に傾いたり(アルカローシス)します。体内の水分調節の働きを担っている臓器が腎臓なのでイオンバランスが崩れると腎機能障害の疑いがあります。

高血圧治療でカリウム(K)を大量に排出するための利尿剤を投与している人などはこの電解質のバランスを注意深く見守る必要があります。

 

クロール(Cl)の基準値

クロール(Cl)は血液中で一番多い陰イオンで、身体のイオンバランスを評価するために測定しています。犬の血液検査におけるクロール(Cl)の基準値は107~121mmol/dlほどです。クロール(Cl)の値が基準値を外れている場合、高くても低くても健康上の問題があることがありますので注意しておくようにしましょう。

クロール(Cl)はナトリウム(Na)と同じ陰イオンで、その働きも同じなのでナトリウム(Na)の動きに影響を受けます。しかし、ナトリウム(Na)に変化がなくてもクロール(Cl)のみが異常を起こすこともあります。血液検査でクロール(Cl)の検査を行うのは体内の電解質の濃度や数値が正常かどうかをチェックするためです。

血液検査のクロール(Cl)の数値を計測すると体内の水分である電解質の濃度を知ることができ、いろいろな病気の前兆を知る事ができます。

また、基準値内でなくても一時的に数値が変化している場合もありますし、病気ではないこともたくさんあります。

 

クロール(Cl)とナトリウムの比率

クロール(Cl)とナトリウム(Na)は共に陰イオンの電解質で働きも同じですし、影響を与え合っています。体内の電解質は濃度をコントロールするために非常に重要で、クロール(Cl)とナトリウム(Na)の比率は通常1/1.4程度です。

もし血液検査を行ってクロール(Cl)が基準値内でない場合でもナトリウム(Na)との比率が問題なければナトリウム(Na)の異常原因が同じ病気でクロール(Cl)が異常値を示していると考えられます。

また、この比率が変化している場合は他の陰イオンに変化がないかどうか検討します。

 

クロール(Cl)が基準値よりも低い場合

血液検査でクロール(Cl)が基準値よりも低い場合は、水分よりも電解質が多く失われていること原因です。

 

アジソン病(副腎皮質機能低下症)

アジソン病は、腎臓の上にある副腎という器官から分泌される副腎皮質ホルモンの分泌が不足することで発生する病気です。このため、別名を副腎皮質機能低下症と言います。副腎皮質ホルモンにはアルドステロンやコルチゾールなどがありますが、これらの分泌量が減ることでさまざまな症状が出ます。

ちなみにアジソン病は副腎皮質ホルモンの分泌不足によるもので、逆に副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって起こるのがクッシング症候群です。症状としては、元気がない、食欲がない、下痢、嘔吐、体重減少、水分をたくさん飲む、尿の回数が増える、尿の量が増える、運動をしなくなると言うものです。

アジソン病の主な原因は、手術などで副腎を摘出したり、副腎から出血したり、副腎に腫瘍などがあることの影響で副腎から分泌するホルモンの量が減ったことによるものと、ステロイドなどの副腎皮質ホルモンと同じ作用をする薬の投与を中止した場合に発生することがあります。

また、副腎皮質機能を弱める治療薬を投与しても発症することがあります。アジソン病の診断として血液検査を行いますが、電解質ではクロール(Cl)とカリウム(K)の数値が高く、ナトリウム(Na)の数値が低くなり、低血症や循環血液量の減少が見られると腎不全になることもあります。血液検査だけでなく、レントゲン検査や超音波エコー検査などで循環血液量が低下していないか後大動脈の太さで確認します。

アジソン病が重篤になるとアジソンクリーゼという状態になって命を落とす危険もあります。

関連記事:犬のアジソン病の原因や症状とは?検査と治療、食事について

 

 

嘔吐(胃酸の喪失)

胃の中の胃酸にもクロール(Cl)が含まれているので、胃の不調で嘔吐した場合は一時的にクロール(Cl)の数値が基準値を下回ることがあります。

このような場合を代謝性アルカローシスといい、クロール(Cl)の数値が下がる原因になります。

関連記事:犬が吐く時の理由とは?嘔吐の原因と対策

 

 

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は腎臓の糸球体という部分に障害があり、本来は血液中にあるべきタンパク質が尿の中に大量に漏れ出してしまう症状の総称です。このため、身体が低タンパク質血症になることに伴って高コレステロール血症、高血圧、腹水、浮腫などの症状があります。血液中のタンパク質濃度が低下するので体内の浸透圧が正常に保てずに身体がむくみます。

治療としては、腎臓を保護するための治療を行い、食事療法としては低タンパク、低ナトリウムになった腎臓病の療養のためのドッグフードを中心に与えます。良質の高タンパク食が理想ですが、担当の獣医さんとよく相談して食事の量やナトリウム、タンパク質の量を決めて与えることが大切です。腎臓疾患のある犬用のドッグフードなどを利用してしっかりと食事の管理をしてあげるようにしましょう。

腎臓病の愛犬用に、獣医師である宿南章が開発した腎臓サポートという療法食もありますので参考にしてみて下さい。

高血圧の症状があれば血管拡張剤を用いて血圧を下げます。ネフローゼ症候群は治療しても完治が難しいですが、早期に発見して早期治療を行うことが大切です。

放置すると血液が固まって血栓が出来て心臓や脳に詰まってしまうこともありますので注意しましょう。

 

肝硬変(腹水)

肝臓はある程度のダメージがあっても自己修復する臓器ですし、肝機能障害があっても症状としてなかなかはっきりと表れないので初期段階で発見することが非常に難しい臓器といえます。

肝臓が原因で症状が出てから動物病院を受診した場合の多くが、病状がかなり進行した段階であることが多く肝硬変になってから肝臓疾患に気づいたということは珍しいことではありません。肝臓は非常に強い臓器ですが、症状が進んでしまうと完治が難しい臓器でもあるので日頃から注意が必要です。

肝硬変になると本来は柔らかい臓器である肝臓が線維化して硬くなります。肝臓が線維化してしまうとその部分は全く機能しませんし、本来はあるはずの自己回復力がなくなってしまいます。肝臓の機能が落ちると浸透圧のバランスが崩れてしまい、体液が腹腔内に漏れ出してしまいます。

また、肝臓に血液を送り込む門脈という場所の血管で血流が悪くなることで高血圧症になり腹水が溜まります。腹水を減らすために利尿剤を投与して体の中の体液を増やさないようにしますが、過度に投与することで低カルシウム血症などの電解質異常になる危険があります。

肝硬変にまで病状が進んでしまうとなかなか治療も難しい状態になります。肝臓疾患を見つけるためには定期的に血液検査を行えば、肝硬変になる前に肝臓の異常を簡単に発見できますので、ぜひ定期検査をするようにしましょう。

 

 

クロール(Cl)が基準値よりも高い場合

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

犬のクッシング症候群は老犬によく見られます。クッシング症候群はホルモン異常の疾患で内分泌系疾患の1つですが、副腎と言われる臓器の過剰な働きによって起こります。副腎は腎臓からは独立した器官で、ホルモンの分泌を行うことが主な役割です。大きさは犬の場合、1センチほどの長さの小さなものです。

クッシング症候群は副腎から糖質コルチロイドというステロイドホルモンが糖であるグルコースの代謝に関わっています。糖質コルチロイドが過剰になると糖などいろいろな物質の吸収、分解、排泄に影響が出るだけでなく、血糖値が正常に維持できなくなったり、体の免疫力が下がることで感染症にもかかりやすくなります。

クッシング症候群の症状としては、水分を多くとり尿をたくさんするという多飲多尿になったり、皮膚の症状として、脱毛、感染症、石灰化などがあります。

クッシング症候群の治療としては、手術は一般的ではないため、薬による内科的治療や生活の質の向上による健康寿命の延長を目的にした治療を行います。

クッシング症候群の症状である、食欲が増える、水分を多く摂るようになったというものはあまり深刻な症状とは受け止められないために病気の発見が遅れがちになりますので定期的に動物病院で血液検査を行うことが大切です。

関連記事:犬のクッシング症候群の症状、原因と治療法、費用について

 

尿崩症

腎臓の主な働きとして尿素や尿酸などの身体にとって不要な老廃物や有害物質を体外に排出する尿を作ることがありますが、腎臓は他にも酸やアルカリを体外に排出することで体内のpHを調節したり、体内に水分や電解質が過剰にある場合は体外に排出するという重要な働きもあります。

腎臓で電解質であるナトリウム(Na)を再吸収する場合、副腎皮質から分泌されるアルドステロンというホルモンによって促進され、水を再吸収する場合は脳下垂体後葉から分泌されるバソプレッシン(抗利尿ホルモン)の働きによって増加させます。

バソプレッシン(抗利尿ホルモン)は腎臓の尿細管に働きかけて水を再吸収し、血管を収縮させて血圧を上げます。尿細管から水を再吸収するということは尿の量を減らすことになりますが、バソプレッシンの合成や作用低下があると水分の再吸収力が低下すること尿の量が増えることを尿崩症と言います。

尿崩症は脳の下垂体から分泌されるバソプレッシンの分泌異常は犬の場合家族性のものは稀であり、脳の下垂体での腫瘍に対する放射線治療や摘出、外傷によって起こる後天的な原因によるものが多いです。尿崩症になると水分が再吸収されずに体外へ排泄されることで体内の水分が不足するのでそれを補うために、のどが渇いて水分を大量に飲むようになります。

尿崩症を診断するためには血液検査や尿検査を複数回行い、尿比重などを確認します。治療としては水分をしっかりと摂取させることです。

 

その他の症状

脱水、嘔吐、下痢、慢性腎不全など

 

一時的にクロール(Cl)が高くなる場合

電解質のうち、クロールだけの増加は通常起こりませんが、てんかん治療で使われる抗けいれん薬として臭化カリウムを使用している場合には血液検査でのクロール(Cl)の値は高値になることがあります。これは見かけ上の高値です。

 

まとめ

簡単に言うと犬の血液検査のクロール(Cl)は食塩のことで、食塩として体外から入ってきて、最後は汗や尿や便として排泄されます。

クロール(Cl)はカリウムやカルシウムやナトリウムと同じように電解質で、人間の体を維持するための水分をコントロールして浸透圧の調整、酸塩基平衡の維持を行うために非常に大切な成分です。基準値よりも高くても低くても身体にとっていろいろな障害となるので愛犬の血液検査でクロール(Cl)の値が基準値内でない場合は原因を突き止めて治療したり、療養する必要があります。

腎臓や肝臓に疾患があるとクロール(Cl)値に影響がありますので、まずは疾患の治療を行うことが大切ですが、日々の食事などは愛犬の身体の状態に適した栄養素に調整されたドッグフードなどを利用して体調を管理してあげましょう。

犬 クロール

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獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

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記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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