犬の心臓肥大の症状とは?原因と治療法、余命、食事の知識

犬の心臓肥大の症状とは?原因と治療法、余命、食事の知識

犬の心臓病で心臓肥大というのはよくある病気です。心臓肥大というのは心臓が通常の状態よりも大きくなっていることです。

症状が進行している状態では余命が数ヶ月という場合もありますので、早めに治療することが必要です。

心臓が肥大することでどのような問題があるか、また、心臓肥大と愛犬が診断された場合、飼い主さんはどのようなことに気をつけて世話をしてあげることが大切になってくるのでしょうか?

病気の原因や治療法、診断された場合の食事療法について知っておいて下さい。

犬の心臓肥大とは?

心臓肥大という疾患は、その名の通り心臓が大きく肥大することです。

犬の心臓病はいろいろありますが、心臓肥大はその中でも発症率が高い疾患です。

心臓が大きくなるという病気ですが、心臓の様々な場所にある筋肉である心筋が求心性肥厚を起こすことで、求心性肥厚というのは、心臓壁の筋肉の厚みがぶ厚くなる状態です。

求心性というのは肥大が心臓の内側に向かって厚みを増したり、容積が大きくなります。

肥大が酷い場合は厚みが通常の3倍ほどになり、また重量も2倍ほどになることもあります。

肥大する場所によって左心肥大、右心肥大、両心肥大と言います。

心筋の細胞数は増えませんが、明らかに心臓の大きさが大きくなっているのがレントゲン検査やエコー検査で確認できます。

心臓肥大は心拡張と症状が似ていますので区別が難しくなります。

心臓が何らかの状態で肥大することで心臓から全身に血液を送り出すときに通常よりも大きな負担がかかります。

しかし、心臓は全身に血液が行き届いていないと脳がもっと心臓に働くように命令することで、更に心臓に大きな負担がかかります。

心臓にどんどん負担がかかっていくと心筋が厚くなり心臓肥大が進行してしまいます。

 

 

犬の心臓肥大の症状とは?

犬の心筋が厚くなり肥大することによって、心臓が充分収縮せず全身に血液が行き届かなくなります。

このため、少しの運動で疲れたり、息が乱れたりするのが初期症状の特徴です。

初期症状としては、運動後や夜間に咳が出たり、息切れを起こしたり、ゼーゼーという音と共に呼吸するといったことで、主に呼吸器官の不調を感じることができます。

通常、犬は呼吸が上手な動物ではありません。

このため、正常であってもいびきをかくという愛犬は多いのですが、若いときはいびきをかかなかったのに、高齢になっていびきをかくようになったという場合は注意が必要です。

例えば僧帽弁に異常があり、血液が左心室から左心房に逆流することで左心房が拡大すると、拡大した心臓が気管支を刺激することによっていびきをかきやすくなります。

他にも初期症状としては以下のようなものがあります。

 

・ 疲れやすい
・ 呼吸困難
・ 咳
・ いびき
・ 痰
・ 運動したがらない
・ 落ち着きがない

 

徐々に症状が進んでいくと、血液が鬱血しだします。

すると、食欲がなくなってきたり、体重が減ってきます。

歯ぐきの色が赤色ではなく青っぽい色や灰色になることもあります。

また、脳に充分血液が行き届かないことで酸素欠乏の状態になり突然失神したりしますが、失神しても1~2分で元の状態に戻るのが心臓病の失神の特徴です。

てんかんによる失神の場合は、このような短時間で失神が回復しません。

心臓肥大の初期症状は、あまり深刻なものがないのである程度病状が進行していないと飼い主でさえ病気に気がつかず見過ごしてしまいます。

左心房が肥大すると肺水腫や動脈血栓塞栓症などになり、命の危険もあります。

愛犬の心臓肥大を早期発見、早期治療するためにも日頃から動物病院で定期健診などを受けるようにすることが大切です。

 

 

犬の心臓肥大の原因は?

心臓肥大の場合、これと言ったはっきりした原因が現在のところ分かっていません。

しかし、若年の犬よりも高齢で心臓機能が下がっている犬は心臓肥大になりやすいようです。

また、大型犬やジャイアント種は心臓肥大になりやすく、遺伝的要素も関係していると言えます。

食生活を中心として生活習慣が心臓肥大の原因になっていることもあります。

最近の嗜好性の高いドッグフードは高たんぱく、高脂質、高塩分のものが多くありますが、これらのドッグフードやおやつを日常的に食している愛犬は心臓にどうしても負担がかかりやすくなりますので気をつける必要があるでしょう。

運動不足で肥満気味であったり、ストレスがある愛犬も血圧を上げる原因になり、心臓に負担がかかります。

フィラリア症は、心臓にフィラリアという寄生虫が寄生しますが、フィラリアにより心臓に負担がかかり心臓肥大になることもあります。

 

 

心臓肥大を引き起こす他の心臓病

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁というのは心臓の左心室と左心房の間にあるフタのようなものです。

血液は心臓から全身に送られますが、常に一方通行になっています。

心臓は心臓の中に溜めた血液を心臓が収縮する力を使って全身に送り込みますが、何らかの原因で僧帽弁がしっかりフタの役目をせずに隙間が開いていると血流が完全に一方通行にならず、血液の一部が逆流してしまいます。

僧帽弁が徐々に機能しなくなり、逆流をする血液が増えることで心臓に血液が溜まってしまい心臓に負担をかけます。

このように心臓に負担が徐々にかかってくることで心臓の心筋が厚くなり、心臓肥大の原因になります。

僧帽弁閉鎖不全症は高齢の犬がなるリスクが高くなります。

ある日突然僧帽弁が機能しなくなるということではなく、徐々に僧帽弁の閉まりが悪くなりますので、初期症状ははっきり分かりません。

しかし、定期健診などで聴診をすると血液が逆流している場合はザーザーという雑音がします。

できるだけ早く発見して心臓肥大の原因にならないようにすることが大切です。

 

 

心筋症

心筋症は心臓の筋肉が正常に動かなくなることです。

心筋症も高齢で大型の犬がかかりやすい病気です。

心臓の筋肉が肥大して心臓が狭くなり弾力性がなくなる肥大型と、心筋が伸びることで心臓が膨らむ拡張型があります。

心筋症と僧帽弁閉鎖不全症、また心臓肥大というのは非常に密接な関係にあり、心臓に負担がかかることで相互にリスクが上がると考えられます。

関連記事:【獣医師監修】犬の心臓病って?種類や原因と治療法、余命、食事について

 

 

心臓肥大の愛犬の食事で気をつけることは?

心臓肥大になるということは、心臓に負担がかかり弱っている子と言うことです。

心臓に負担にならない食事を考えて愛犬に食べさせてあげる必要があります。

 

 

塩分を控える

心臓肥大だけでなく心臓病を患う犬には塩分摂取を控えることが大切です。

犬は本来人間のように全身に汗腺がありませんので汗をあまりかきません。

このため、人間のように塩分をそれほど必要としません。

人間と同じものを食べさせたり、人間が食べても辛いようなものは犬にとっては過剰に塩分を与えていることになりますので注意しましょう。

また、塩分をたくさん摂ることで体内に水が溜まりやすくなり、それに伴って血液量が増えます。

血液の量が増えることで心臓に負担がかかりますので塩分は必ず控えましょう。

どの程度塩分を控えるかという具体的な量は動物病院の獣医さんによく相談してみましょう。

その愛犬の体の状態により塩分摂取量は異なってきます。

 

 

血流をよくする栄養素

血液の流れが悪くなると心臓に負担がかかります。

そのため、血流をよくするためにビタミンB12、ビタミンC,葉酸、EPA、DHA、ミネラルなどの栄養素を摂取する必要があります。

ビタミンB12や葉酸は血液の質をよくしますし、ビタミンCは免疫力を上げ、EPAやDHAは血液をサラサラにする働きがあります。

緑黄色野菜では、人参、ブロッコリー、かぼちゃ、ピーマン、ナス、ほうれん草などが良いでしょう。

魚類ではマグロやいわしは血液をサラサラにしますし、わかめや昆布などの海藻はミネラル成分が豊富で、血液に良い効果を与えます。

 

 

高たんぱく、高脂質のものを避ける

最近のドッグフードは、非常に嗜好性を重視している商品が多く、高たんぱく、高脂肪、高塩分の美味しいものが多くなっており、人間が食べてもなかなか美味しいと感じるほどのものも売られています。

高たんぱく、高脂肪の食事というのは、腎臓の糸球体のろ過能力にも負担をかけ腎機能が下がってきます。

腎機能が下がるということは心臓機能にもマイナスの要因になりますので気を付けましょう。

 

 

心臓病の愛犬用のドッグフード

心臓肥大の疾患を抱える愛犬の健康を考えると食生活というものが非常に大切になってきます。

犬の世界でも、食生活などの生活習慣が病気の原因を作ってしまっている一面もあります。

食事というものは毎日のことなので、愛犬の心臓肥大のために毎日手作りで食事を用意するのは飼い主さんにとって非常に大変なことです。

また、食事は毎日のことで一時期だけ気をつければよいというものではありません。

飼い主さんの負担や愛犬の健康状態を考えたときに一番安心できる食事は、心臓疾患を抱える愛犬のために専用に開発し、しっかり栄養面やカロリー計算をされたドッグフードです。

心臓病のためのドッグフードもいろいろな種類のものがありますが、原材料などを確認して安心できるものを選んで下さい。

獣医師である宿南章が開発した心臓病用の療法食「心臓サポート」も参考にしてみて下さい。

是非、愛犬の健康を維持するためにも症状別に配慮されたフードを利用することをおすすめします。

 

 

犬の心臓肥大の治療方法は?

心臓肥大を完治させる治療薬は残念ながらありません。

心臓肥大の治療としては、今の病状を少しでも緩和するという対処療法が主な治療になります。

治療薬としては、利尿剤、強心剤、気管支拡張剤、血管拡張剤というものです。

まずは利尿剤は尿をたくさん排泄して体の中に水分が溜まらないようにします。

心臓肥大になると心臓の機能が下がってくることで肺に水が溜まる肺水腫やお腹に水が溜まってしまいます。

利尿剤を服用することで尿をたくさん出すと、全身を循環する血液の量が減るので血液が鬱血するのを改善してくれます。

また、心臓の働きが弱まってくるので強心剤を服用します。

心臓の機能が弱まってきたら、強心剤として主にステロイドを使うことが多いのですが、心臓の収縮力を高めて血液を送り出す量を増やし、心臓を休ませます。

血管拡張剤は血管を拡張させることで血圧を下げることで心臓から全身に血液が流れやすくしてくれます。

心臓肥大になると心臓が大きくなることで近くにある気管支や肺など呼吸器を圧迫しますので、これを緩和するために気管支拡張剤も服用します。

心臓肥大の治療薬としてはおおよそこれらのものを組み合わせて治療しますが、獣医さんに病状を判断してもらい、処方する薬を服用するようにしましょう。

 

 

犬の心臓肥大の余命は?

心臓肥大をどの段階で発見治療したかということや病状によって余命は変わってきます。

心臓肥大でも若い犬で早期発見できた場合は治療を続けながら生きていくことができます。

しかし、老犬で病状が進行している場合は、余命が数ヶ月の時もありますし、心臓の病気なのである日突然状態が悪化して命を落としてしまうこともあります。

飼い主さんは、心臓肥大の愛犬の最期の日々を後悔のないように温かく、丁寧にお世話してあげることが大切です。

 

 

心臓肥大は定期健診が大切

心臓肥大の場合は、初期症状はなかなかはっきりとは分かりません。

徐々に症状が進行していくことで飼い主さんにも健康状態の変化に気がつき病気が発覚することが多くあります。

しかし、心臓肥大は症状が出てからではしっかりとした治療が出来なくなりますし、治療の効果も弱くなってしまいます。

老犬の大型種が発症しやすい病気でもあるので6歳ころを過ぎたら定期的に動物病院で定期健診を受けて心臓肥大を起こしていないかチェックするよう心がけましょう。

 

 

まとめ

心臓肥大は心臓に負担がかかることで心臓の筋肉が厚くなり、心臓の容積や重量が増えます。

心臓が肥大すると心臓の機能がどんどん悪化していくことで、心臓だけでなく他の体の中の重要な臓器に負担をかけることになり、徐々に他の臓器も機能が下がってきます。

しかし、心臓肥大であっても症状が進まないと愛犬の健康状態の悪化にほとんどの飼い主さんは気がつきません。

咳が出たり、元気がなくなったりする頃には非常に症状が重症化してしまっていて治療の施しようがないような状態になっていることもよくあります。

このため、動物病院で愛犬の聴診をしてもらうなどの定期健診が非常に大切になってきます。

また、心臓病というのは生活習慣が大きく影響します。

普段から高たんぱく、高脂質、高塩分の食事やおやつを与えすぎないように気をつけましょう。

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