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犬の血液検査でBUN値が低くても高くてもダメ!その意味とは?

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愛犬の血液検査でBUN値が悪いと言われてもなかなか具体的に何が問題なのかということが分かる飼い主さんはいません。
BUN値は高すぎても低すぎても何らかの異常があるサインとなります。

愛犬の血液検査BUN値が高い場合、低い場合の考えられる原因や病気、食事についてまとめてみましたので、飼い主様はBUN値について知識をしっかり持って、愛犬のケアをしてあげてください。

目次

血液検査BUN値とは?

血液検査におけるBUN値とは、血液中の尿素窒素のことです。
尿素窒素というのはたんぱく質を分解する時にアンモニアと二酸化炭素が結合してできる物質です。

尿素窒素というのは健康体の犬の場合、腎臓の糸球体というフィルターでろ過されて尿として体外に排泄されますが、腎機能が何らかの原因で下がっていることによって糸球体のろ過能力が下がり、ろ過できなかった尿素窒素が血液中に残ってしまうことで、血中尿素窒素値であるBUN値が上昇するというものです。

BUN値の正常値は?

獣医師・宿南章

犬のBUN値の正常範囲は9.1~31.9mg/dlです。

BUN値が高い場合に考えられる病気には以下のようなものがあります。

  • 腎機能低下
  • 腎前性
  • 腎性
  • 腎後性
  • 脱水
  • 出血
  • 心拍や心臓からの血液出量の低下、低血症
  • 筋肉の損傷

それではそれぞれ見てみましょう!

腎機能低下

BUN値すなわち血中尿素窒素が高い場合は、腎機能が低下している可能性があります。
腎臓障害でも、腎臓へ血液が流れにくくなっている腎前性、腎臓そのものに何らかの原因がある場合の腎性、尿が出にくい腎後性の場合があります。

腎前性

腎機能低下でも腎臓の手前の段階で原因がある場合を腎前性と分類します。
血液の循環に問題があるために腎臓に送られる血液量が低下するときに腎機能が下がります。
腎臓に血液が流れにくくなっているということは、血液を全身に送り出す心臓に疾患があることが考えられます。

また、熱中症などで一時的に心機能が下がっていることで腎前性の腎炎を起こすこともあります。
腎前性の腎炎の場合、腎臓に行く前の段階での障害です。
腎臓にまだ損傷がなく腎機能を失っているのではないため、早期発見して早期治療を行えば回復可能なケースも多くあります。

腎性

腎性の腎炎というのは腎臓という臓器そのものに損傷があるために、血液検査をしてBUN値が上がる腎炎です。
腎臓のネフロン細胞に損傷があると糸球体腎炎、腎盂腎炎などになります。

また、体にとって有毒な物質が体内に入った場合や感染症や寄生虫、腎臓に外からの強い衝撃がかかった時に外傷や腫瘍、先天的に腎臓の異常というのも腎性腎炎です。
急性腎不全や慢性腎臓病、腎臓腫瘍というのも腎性の腎炎です。

腎後性

腎臓までの機能には異常がなく、正常に尿を作ることができても、その尿を上手くそこに排泄できない場合もBUN値が上がります。このような腎障害を腎後性と言います。
膀胱炎や尿道に結石が詰まる尿路結石などが主な原因
です。
腎後性の腎炎の場合は、腎臓そのものにダメージがあるタイプの病気ではないので早期発見をして適切な処置を早期に行うことで元のように回復する可能性があります。

脱水

熱中症などによって重度の脱水症状になると血液の循環が悪くなるのでBUN値が上がります。
水分をしっかりとることが重要です。

出血

体のどこかで出血することで血液の循環が減少することで腎臓への血液量が減って、糸球体のろ過能力が下がるのでBUN値が上がります。
消化管出血などが考えられますので、胃潰瘍、胃腸炎、十二指腸潰瘍などによる出血が原因でたんぱく質が吸収されますが、この中に窒素が含まれているのでBUN値が高くなります。

心拍や心臓からの血液出量の低下、低血症

心臓が機能しなくなる心不全、肝臓が機能しなくなる肝不全、感染症などで重篤な臓器障害が起こる敗血症や血圧が下がって急激に循環不全になり、全身に酸素が行かないために起こるショック状態でもBUN値が上がります。

筋肉の損傷

やけどなどを負って、筋肉などを損傷した場合もBUN値が上がります。

食事中のたんぱく質量が増えるとBUN値は上がる

BUN値は、たんぱく質を分解する時に発生する物質です。
このため、血液検査の前日などの食事でたんぱく質をたくさん摂取すると血液中のBUN値は増えます。

このため、BUN値が上がっても、前日の食事などで思い当たることがあるときは獣医さんに申し出ることで、しばらく様子を見ましょうということになります。

血液検査をすると分かっている場合は、前日の食事は気をつけて通常通りのドッグフードをあげるようにしましょう。

BUN値が低い場合に考えられる病気

BUN値が低い場合もどこかに異常がある可能性があります。
考えられる原因は以下のとおりです。

  • 肝機能低下
  • 低たんぱく質の食事
  • 尿排泄量の増加

それぞれについてみていきましょう!

肝機能低下

BUN値が正常範囲よりも低い場合、肝機能低下が一番懸念されます。
尿素窒素のほとんど全ては肝臓で作られますので肝機能が低下すると血液中の尿素窒素は低下します。
肝硬変などはよくある疾患です。

低たんぱく質の食事

高たんぱく質の肉などをたくさん食べた次の日の血液検査のBUN値が上がるのとは反対に、低タンパク質な食事を食べているとBUN値が下がります。

尿排泄量の増加

尿の量が多くなると尿素窒素がそれに伴って多く体外に排出されるのでBUN値が下がります。
利尿剤などを服用している場合は尿の量が増えますのでBUN値が下がる傾向
にあります。

また、抗利尿ホルモンであるバソプレッシンの合成や作用が下がることで、水分を腎臓が再吸収しにくくなる尿崩症は多尿になる病気ですが、尿がたくさんで出ることで尿素窒素が体外に多量に排出されるので、血液中のBUN値が下がります。

BUN値は高すぎても低すぎてもだめ

BUN値が正常範囲を超えて高いと尿素が体外に外出されていないので腎臓の機能低下、逆に正常範囲よりも低いと尿素ができていないということで肝臓機能の低下になります。

肝臓の機能低下になるとたんぱく質の代謝ができなくなるので栄養不足になったり、尿が多くなって脱水症状になる危険があります。このため、BUN値は正常範囲よりも高くても、低くても健康に問題があるということです。

一応、正常値の範囲は決まっていますが、犬種によって若干のずれがあるのでBUN値の正常値は動物病院の獣医さんにしっかり確認をすることが大切です。

BUN値とクレアチニン値との関係

血液検査の項目はたくさんありますが、BUN値が正常値を超える場合に疑われる臓器の異常は腎臓病です。

クレアチニンとは老廃物の一種で、筋肉が運動するために必要な物質であるクレアチンリン酸が代謝された後にできるのがクレアチニンです。
クレアチニンは腎機能が正常であれば腎王でろ過されて尿として排出されますが、腎機能が下がってくると血液中のクレアチニンの濃度が上がってきます。
BUN値も腎臓以外の臓器異常でも数値が上昇しますし、たんぱく質の摂取が多いときも上昇します。

クレアチニンも筋肉量に左右されたり、オスとメスによって差が出たりするので1つの血液検査項目だけで体の異常の場所などを特定するのではなく、クレアチニンとBUN値というように複数の血液検査項目を同時にチェックすることはデータの信憑性の見地からも重要です。

BUN値とクレアチニンは腎機能がその機能の4分の1ほどに低下してきた段階で増加してきます。
クレアチニン値とBUN値が共に上昇している、または上昇後の数値のバランスによって腎臓疾患であるかそれ以外の疾患であるのかという判断が付きます。

一般的には、BUN値とクレアチニンの数値比は10対1とされています。
例えば、腎機能の疾患があってBUN値が上昇した場合、BUN値の上昇後の数値とクレアチニンの皮が10対1以上の場合は腎機能の異常ではないという診断が付きやすく、10以下になる場合は腎機能の異常があるという具合にクレアチニン値を利用します。

BUNN値を低くしたい場合は?

愛犬のBUN値が正常値よりも高い場合は、できるだけBUN値を低くするように対応しなければいけません。
BUN値が正常値よりも高いということは腎機能低下などが問題になるのである場合が多いので、腎臓に負担をかけないようにすることが大切です。

食事療法

腎機能が低下している犬に大切なことは食事です。
少しでも症状の進行を遅らせるために専用の療法食などを与える必要があります。
注意する必要のある成分は以下になります。

  • リンの制限
  • ナトリウムの制限
  • カリウムの過不足に注意
  • 脱水改善

リンの制限

腎臓に障害があると、リンとカルシウムが結合したものが腎臓に蓄積します。
腎臓に老廃物が蓄積してフィルターを詰まらせることで更に腎臓の機能を低下させますので、リンは過剰に摂取することなく制限をすることが大切です。
リンは主に肉などにたくさん含まれていますので肉類をたくさん摂取しすぎるのは問題です。

しかし、腎臓機能に問題のある犬に肉の極端な制限をしてしまうとたんぱく質を必要量摂取できなくなってしまいます。
リンの制限を意識しながら質の良いたんぱく質を含む鹿肉や鶏肉、カッテージチーズ、ヨーグルトなどを食べさせて適度にたんぱく質を与えるようにしましょう。
脂肪は体を動かすためのエネルギーなので腎機能が下がっている犬にも必要な栄養になります。

また、肉よりも脂肪の方がリンの含有量が低いのである程度食事に脂肪も取り入れる必要があります。
根本的にたんぱく質をたくさん与えてしまうと、腎機能には関係なくBUN値は上がりますので気をつけましょう。

ナトリウムの制限

ナトリウム、つまり塩分の制限は腎臓病を持つ犬の食事療法には非常に重要です。

体内に入ったナトリウムの調節を行っているのはほぼ腎臓だけの働きですし、体内に過剰にナトリウムが入ると機能が低下している腎臓がナトリウムの調節ができなくなるので、負担がかかってしまいます。
ナトリウムの調節ができないと高血圧の原因になります。

犬は人間に比べて非常に薄い味でも充分に味を感じることができますので、人間が食べている塩味のついたものや濃い味のものをそのまま愛犬に与えていると、ナトリウムの過剰摂取になってしまうので気をつけましょう。

カリウムの過不足に注意

腎臓の機能が低下するとカリウムの排出が上手くできません。そのため体内にカリウムが蓄積するので高カリウム血症になります。高カリウム血症になると心臓病のリスクも高まります。
心臓に負担をかけることで腎臓への血流量が経るのでBUN値も上がる傾向にあります。

腎機能が下がって利尿剤を使用するような段階になると利尿剤によってカリウムが体外に排出されてしまうので、低カリウム血症になります。
カリウムの多い食材は野菜、果物、イモ類、豆類などです。

しかし、愛犬の腎機能の状態、病状の進行度によってカリウム摂取をコントロールする必要があるので愛犬にとって必要なカリウムの量を獣医さんとよく相談して決めることが大切です。

脱水改善

腎不全などになっている犬は食欲が低下しますし、脱水症状になりやすくなりますのでしっかり水分を与えることが大切です。水分が体内に足りてくると尿の量が増えてきますのでBUN値が下がってきます。

BUN値を高めるには?

BUN値が低いのは肝臓の機能低下により、尿素が減ることが原因ですので、BUN値の元になるたんぱく質を補うことが大切です。
犬にとっては肉が高たんぱく質で良いのですが副産物としてアンモニアも多く出るので乳製品や魚類からたんぱく質を補うのもいいでしょう。

症状に対応した専用ドッグフードを利用する

BUN値が高くても、低くても問題があり飼い主さんは愛犬のBUN値を正常範囲内にするために特に日々の食事に気をつける必要があります。

BUN値はたんぱく質の量を調整したり、リンや塩分を控えて腎臓に負担をかけないようにするということは飼い主さんにとって想像以上に困難なので長期間続ける必要のある場合は大変です。

病状によって栄養素にも違いがありますし、個体それぞれに必要量が違うために専門家である獣医さんに相談してもよほど栄養学的に詳しい知識を持っている獣医さんでないと相談しても対応してくれません。

このため、BUN値の高い犬、低い犬に対応した専用のドッグフードを利用することが大切です。

まとめ

獣医師・宿南章

犬の血液検査のBUN値とは血液中の尿素窒素です。
尿素窒素というものはたんぱく質を分解した時にできる物質ですが、BUN値が正常値よりも高くても、低くてもよくありません。

BUN値が高い場合は腎臓の疾患、BUN値が低い場合は肝臓疾患である場合が多いので、BUN値だけでなくクレアチニンなど他の血液検査項目などと比較しながら診断することが大切です。

腎臓や肝臓という臓器はかなり病状が進行してからでないとBUN値に大きな異常が現れません。

愛犬の体調の異変に早く気が付くためにも定期的に血液検査を受けて病気の早期発見早期治療が出来るようにしておくことが大切です。

犬の血液検査BUN値

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獣医師が犬の進化の歴史を研究。
進化栄養学など、様々な角度から
ドッグフード&療法食を作りました。

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記事を書いた人

宿南 章(しゅくなみ あきら)
獣医師
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
【所属団体】
The Royal Society for the Protection of Birds 会員
日本盲導犬協会 会員
野生動物救護獣医師協会 正会員

【プロフィール】
1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。
日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。


【研修・研究内容】
1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習
1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習
1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)
1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)
1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)
2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修

【論文】
Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004

【著書】
「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。
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