犬の血液検査ALPとは?数値が高い時に疑われる病気まとめ

犬の血液検査ALPとは?数値が高い時に疑われる病気まとめ

動物病院で愛犬の血液検査をしたら、ALP(アルカリフォスタファーゼ)が高いと言われたけれど、ALP(アルカリフォスタファーゼ)とは一体何なのかよくわからないと思っている飼い主さんも多いはずです。

血液検査でALPの値が正常範囲よりも超えて高い数値が出た時、主に肝臓系や胆管系の病気が疑われます。

種類によっては死に至る場合もありますので、しっかりと治療することが必要です。

ALP値が高い場合、愛犬の健康状態はどのようになっているのか、疑われる病気と症状についてみてみましょう。

ALP(アルカリフォスタファーゼ)とは?

ALP(アルカリフォスタファーゼ)は、犬の血液検査の項目として一般的に使用されている項目です。

ALPは、主に肝臓系や胆管系の病気の発見に役立ちます。

ALPは血液中には本来あまり存在しない成分ですが、肝臓、胆管、骨、腎臓、腸、胎盤など体の中のいろいろな器官に存在します。

ALPは酵素でリン酸化合物を分解します。

 

 

ALPの正常値は?

ALPは、通常血液中にはあまし多く存在しません。

ALPの正常値は20~150U/Lほどです。

正常範囲より少ない場合は特に健康上に問題はありませんが、正常範囲を超えていると肝臓、骨、小腸、胎盤などの疾患が疑われます。

特にALPが血液検査で高数値になったときは肝臓や骨の疾患が疑われることが多いです。

 

 

ALPが上昇すると疑われる肝臓・胆のう系の疾患

肝臓ではいろいろな消化酵素が作られていますが、胆汁という消化酵素にALPは本来多く含まれています。

肝臓で作られた胆汁は胆のう、胆管を順に通り小腸へ移動していき食べ物を消化するというのが正常な流れです。

しかし、何らかの原因で胆汁が小腸へ流れることができず、胆のうなどで胆汁が溜まってしまうと、胆汁は血液中に漏れてしまうことになります。

血液中に胆汁が混じるので血液検査でALPが正常値を超えて検出されることによって異常が発見されます。

胆汁がうまく流れなくなる原因はいろいろありますが、通り道になっている胆管が何らかの原因で詰まっていることで胆汁が流れなくなるケースが多いです。

 

 

胆石症

胆石症は、肝臓や胆のう、胆管に結石ができてしまう病気です。

胆石は胆汁の成分が固まり、石のようになってしまいます。

胆のうにできたものを胆のう結石、胆管内にできたものを胆管結石と言います。

胆汁の中のコレステロールが増えることによって、胆汁に溶けきれなくなったコレステロールが結晶となり大きくなって結石となります。

また、コレステロールが原因の結石とは別に、胆汁の色素の成分であるビリルビンが主成分となってできる結石もあり、これをビリルビン結石と言います。

治療としては結石を溶かす薬を服用しますが、結石が小さくならずに胆汁の流れが悪いと手術をする必要があります。

 

 

肝臓や胆管、その周囲にできるガン

ガンには原発性のガンと転移してできる転移性のものがあります。

最も多いのは肝細胞ガンで、次は肝内胆管ガンです。

肝臓は多くの血液が送りこまれる臓器で、血管も細いのでガン細胞が引っかかりやすく転移しやすい臓器です。

肝臓や胆のう周辺のガンは初期症状がほとんど見られないので、症状が出てきた時は既にガンが進行していることが多くあります。

肝臓の胆管に近いところや胆管などにガンの腫瘍ができると胆汁の流れを妨げるので、血液中に胆汁が流れ込みALPの値が上昇します。

腫瘍によって胆汁の流れが悪くなると黄疸が徐々に出てきますが、初期段階ではなかなか気づくことができないので血液検査を定期的に受けてALPによってガンの早期発見ができることが望ましいでしょう。

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胆汁性肝硬変

胆汁の排出低下が原因で胆汁の流れが悪くなり、肝組織が線維化し硬くなります。

犬の場合、肝臓は小さくなりますが、腹水が溜まってきます。

 

 

レプトスピラ症

レプトスピラという細菌に感染すると肝障害や急性腎不全を起こします。

レプトスピラ菌に感染しても特に症状が出ないことが多く自然治癒することが多くありますが、症状が重くなると命に関わる病気です。

犬がレプトスピラ・カニコーラという種類の菌に感染すると40℃前後の高熱が出たり、食欲がなくなったり、結膜の充血、嘔吐、血便という症状になり、最期には尿毒症を起こして死に至ります。

レプトスピラ・へクテロヘモラジーに感染した場合は、黄疸、嘔吐、下痢、口粘膜からの出血が見られます。

保菌者であるネズミの尿で水や食べ物が汚染されることによって犬に感染しますが、感染した犬から人に感染することもあります。

症状が重症であると数日で命を落とすこともありますので、早めに動物病院を受診して投薬治療をおこなうことが大切です。

レプトスピラ症は予防のためのワクチンがありますので定期的に接種しておくと良いでしょう。

 

 

トキソプラズマ症

トキソプラズマ症というのはトキソプラズマという原虫の寄生によって起こる感染症です。

犬がかかってもあまり症状が出ないのですが、子犬や免疫抑制剤などを服用している犬などは免疫力が下がっているので肝炎の症状を起こしたり、肺炎や脳炎を起こすこともあります。

トキソプラズマは虫の卵が口から体内に入ることで感染しますが、豚肉や鶏肉を食べたり、既に感染している猫の便が口に入ることで感染します。

トキソプラズマは加熱すれば死滅しますので、調理器具の滅菌や犬に生肉を与えないということも大切です。

抗生剤を投与することで治療することができます。

 

 

胆のう粘液嚢腫

胆汁は肝臓で作られて一時的に胆のうに貯蔵される消化酵素ですが、食事をすることで胆のうが収縮して胆汁が放出され、胆管を通って十二指腸へ流れます。

胆のう粘液嚢腫になると胆のうの中にどろどろのゼリー状になった粘液が溜まり、胆汁が上手く分泌されなくなり、消化器系の臓器に障害が出ます。

症状が進行すると黄疸が出たり、胆のうが破裂して腹膜炎を起こし重篤な合併症を併発するようになります。

原因ははっきりしませんが、濃縮胆汁や胆汁が変化して泥のようになった胆泥、胆石が引き金となって異常を起こすと考えられています。

高脂血症の犬や遺伝的に脂質代謝異常の多い犬種がよくかかる病気です。

ミニチュア・シュナウザーやシェットランド・シープードルに多いです。

また、加齢により胆のう壁の変化や胆のうの機能低下も原因と考えら、胆汁の流れが完全に遮断されると黄疸がでます。

治療としては、肝臓に負担をかけないようにタンパク質の摂取制限をする食事療法や症状が酷い場合は外科的に胆のうを切除する手術を行う場合もあります。

 

 

ALPが上昇すると疑われる骨疾患

骨芽細胞にはALPが骨を作ることに関わるので多く含まれているので数値として表れやすいです。

子犬の場合は、骨の新生が盛んであるためALPが成犬の2~3倍の高い値になることがあります。

 

 

骨腫瘍

骨腫瘍は骨にできるガンです。

犬の場合、四肢や頭、顎にできやすく、症状としては怪我をしていないのに歩き辛そうにしていたり、足が痛いので散歩に行きたがらなかったり、体を触られるのを嫌がったりします。

良性の場合は骨の塊ができやすくなり、大きくなると腫れているように見えます。

良性の場合の処置として、歩行が困難な場合は外科手術を行って腫瘍を切除します。

また、悪性の場合は骨肉腫といい、転移して痛みを伴いますので患部を切除するか、切断せずに抗がん剤治療や放射線治療を行う方法もあります。

なりやすい犬種としては、レトリバーなど高齢の大型犬に発生しやすいです。

 

 

副甲状腺機能亢進症

のどにある副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンの作用が強くなり過ぎる状態を言います。

副甲状腺はのどの甲状腺の少し上にあり、副甲状腺ホルモンを作ります。

副甲状腺ホルモンはパラトルモンとも言われ、血液のカルシウム濃度を増加させ、骨や腸、腎臓などに作用します。

骨密度が低下したり、水をたくさんのみ、尿が増えます。

原因の1つにフードの栄養バランスの悪さがあり、特にカルシウムの量が少ない、カルシウムとリンのバランスが悪い、ビタミンDが不足することにより血中カルシウムが低下することがあります。

食事療法が大切で、カルシウムやビタミンDをしっかり摂れるように食事内容を見直してください。

このためドッグフードを選ぶ場合は、カルシウムやビタミンDを多く含むものを選ぶと良いでしょう。

 

 

上皮小体機能亢進症

上皮小体は副甲状腺とも言われており、甲状腺の上部の左右にあります。

血中カルシウムの量が正常でも副甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう病気です。

食欲がなくなり元気がなくなってきますが、徐々に嘔吐や多飲多尿になり、カルシウム量が減少してくると骨が弱くなり骨折などを起こします。

カルシウムが尿と一緒に排出されてしまうので、これを補うために、パラソルモンが増え、カルシウム代謝異常によって骨や腎臓の機能が下がってきてしまいます。

原因には栄養バランスの悪さと日光不足が主に挙げられますが、上皮小体にできた腫瘍やガンや傷が原因になる場合もあります。

原因によって治療方法は異なりますが、外科手術によって上皮小体を切除します。

また、カルシウム濃度を調節するためにカルシウム製剤を服用したり、食事療法でカルシウムを摂ったり、不必要なおやつを避けてリン酸塩を含まない食材を摂ることが必要です。

また、なるべく日光を浴びさせることでビタミンDの生成を助けるようにしてください。

 

 

クル病

クル病は日光不足や免疫力低下、栄養不足でビタミンDが体内で充分作られなかったり、カルシウムやリンが不足して起こり、別名は骨ネン骨軟化症と言います。

症状としては関節が膨らんできたり、足が変形したりします。

痛みがあるので散歩を嫌がったり、筋肉が低下して歩行がふらついたりします。

治療としては、カルシウム剤やビタミン剤で不足分を補い、食事療法で栄養バランスを整えることが必要です。

日光の不足も原因ですので、日中は日に当たるようにしてください。

 

 

クッシング症候群

クッシング症候群とは副腎皮質機能亢進症と言います。

副腎は左右の腎臓の隣にある小さい線でコルチゾールを生成します。

コルチゾールはタンパク質や炭水化物、脂肪の代謝、ミネラルバランスと皮膚の健康というような重要なホルモンです。

コルチゾールは病気などになると血液中に放出されますが、クッシング病とは血液中に長期間に渡って高濃度のコルチゾールが放出され、代謝に悪影響を及ぼす病気です。

また、多くの内臓にも悪影響を与えます。

クッシング病の犬は肝酵素のレベルが高いのでALPの値が上昇し、肝機能障害と間違われやすくなります。

 

 

ALPの値が高い時には

愛犬のALPの値を下げるためには食事の見直しとても大切です。

基本的に脂肪を制限して、良質のタンパク質を食べさせると良いでしょう。

肝臓に負担をかけないように必要な栄養素をしっかり与えながら、獣医さんとしっかり体の状態と具体的な摂取量を決めましょう。

できれば、毎日栄養を考えながら食事を作ることができればよいのですが、負担が大きくなったり間違った栄養素を与えることにもなりかねませんので、専用に開発されたドッグフードを利用すると良いでしょう。

獣医師である宿南章が開発した各疾患用の療法食ドッグフードもあるので参考にして下さい。

また、ALPの数値が正常に戻った後も、再発を防ぐために品質の良いフードを与えてあげることが望ましいです。

 

まとめ

愛犬の血液検査のALPが高い場合、主に肝臓系や胆のう系の疾患が疑われますが、ALPは、肝臓、胆管、骨、腎臓、腸、胎盤など様々な場所に存在する酵素ですので、骨の疾患やクッシング症候群などの疑いもあります。

肝臓や胆のう系の病気は、初期症状はほとんどない場合が多いので症状が出てきた時期には既に病状が進行していることが良くあります。

このため、定期的に愛犬の血液検査を行い日ごろから健康状態をチェックしてあげてください。

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